結局シーズン1、一気に見終わってしまいました。
ジャンルは ”ホラー” ですが、怖がらせてナンボのホラーじゃなかったです。
史実に基づいた上質な人間ドラマでしたよ~。
もちろん、未確認生物(クリーチャーcreature)が出てくるので、ドラマ要素はありますが、未確認生物より怖いもの、それは、極限状態に置かれた時、人間の持つ凶暴性や冷酷さが浮き彫りになる恐ろしさでした。
しかし一方で、人間しか持っていないだろう人を愛すること、その尊さも存分に描かれていました。
人物描写が素晴らしかったですね。
いかんせん同じ服装にヒゲ面、帽子を被っていたりするし、名前がジョン、ジェームスだらけ(笑)
海尉、士官、軍曹など階級の理解も甘いので、混乱したところもありますが・・・。
ドラマの中には、2度目を見るのはムリな作品もありますよね?
(私にとっての ”ウォーキング・デッド”)
このドラマは、結末を知っててもみることができると思います。
きっとその方が、それぞれの登場人物を理解できるかも。
主な登場人物
キャスト名 | 説明 | |
---|---|---|
フランシス・クロージャー | テラー号艦長 新隊長 |
|
■エドワード・リトル | 副官 | |
■トーマス・ジョプソン | 海尉に昇進 | |
反乱グループ | ■ヘンリー・グッドサー | 軍医 |
反乱グループ | ■ジョージ・ホジソン | 海尉 |
■L・ヴェスコンテ | 士官 | |
反乱グループ | ■コーネリアス・ヒッキー | 修理工 |
反乱グループ | マグナス・マンソン | ヒッキーと一緒に イヌイットの娘を捕らえた |
反乱グループ | ■ソロモン・トウザー | 狙撃手、軍曹 |
レディ・サイレンス | イヌイットの娘 名前はシルナ |
|
イヌイットの男 | 長 | |
ロンドン | ジェームズ・ロス | ジョン・ロスの甥 フランクリン隊捜索をする |
#10 命果つる地 We Are Gone あらすじ
反乱グループの野営に連行されたクロージャーは、グッドサーから理解できないことを忘れないように言われる。
リトルはクロージャーを救助するべきだと言うが、仲間たちからは、隊長の命令どおり南へ向かおうと言われる。それは病人を置いて行くものだったー。
ヒッキーは、トゥンバックを操ろうと考えていた
まとめ & 感想
反逆グループの野営地
クロージャーはヒッキーの野営地へと連れて来られた。
そこにはコックのディグルやグッドサーの姿もあり、ヒッキーは、 ”フィッツジェームズのブーツ” を履いていた。
(死体を掘り起こして食べたのだろう)
グッドサーとクロージャー
グッドサーの手当を受けながらクロージャーは、「リトルの気性なら、すぐにでも武装隊を連れてやってくる。数えたら全部で11人だった。銃は何丁ある?」と聞く。
グッドサーは、銃は5丁あること、そしてギブソンが死に、彼らがそれを食したことを話した。
「逃げるチャンスが訪れたら俺に構わず南東へ向かうんだ」
クロージャーは言うが、グッドサーは指輪を見せながら、「ロンドンに戻られたら、この遺品をある者の妹に渡してください。私はここから出られない。覚悟してます。今の私はもう医者ではない」と言う。
そしてイヌイットの娘はどうなっているだろうと気にかける。
クロージャーは、「ここは彼女の地だ。仲間と合流している」と言うと、心から安堵の表情を見せ、「良かった・・・」とグッドサー。
クロージャーは指輪を預かり、名前を聞くが・・・グッドサーは思い出せなかった。
マンソンがクロージャーを呼びに来た。
テントを出ようとするクロージャーに、「いずれ私も死に、食べられます。出されたら拒んで。しかし強要されたら、踝から下の足だけを食べて。足の裏の最も硬いところを。いいですね、それに架かっています」とグッドサーは言う。
クロージャーは理解しかねたが、頷いた。
ヒッキーの目的
クロージャーを呼んだヒッキーは、座って話そうと言う。
「ナゼ私をココへおびき出した?」と聞くクロージャーに、ヒッキーは不敵な笑いを浮かべ、「トゥンバックさ。アレは動物の衣を纏った精霊なのに大砲で撃つと血が出た。どう説明ができる?あの生き物にはどんな神話が絡んでるんだ?」と聞く。
「アレに関しては何一つ答えなどない。およそ我々が知るべき事ではない」とクロージャーは言うが、ヒッキーは、「この探検隊の中で対等に話せるのはあんただけだ。明日は重要な日だ」と言う。
前夜
”明日は重要な日”。ヒッキーはそう言った。
真夜中、手かせを外そうとしているクロージャーを見て、「隙を伺えば、その手かせは外せます」とディグルは言い、隊長だけを逃がそうとする。
「そうはいかん。キミたちを連れて逃げる。リトルが来るのを待とう。合図をしたら、それに従え」クロージャーがそう言うと、ディグルは頷いた。
グッドサーは薬瓶を出し、薬液を洗面器に入れて、それで身体を拭き、最後に薬液を飲み干した。
服に着替え、アスコットタイまで結んだグッドサーは程なくして苦しみ出した。
彼は苦しみながらも、自分の両手首の動脈を切った。
血が滴り落ちる・・・
リトル副長率いるグループ
割れる意見
リトルは皆に、「隊長以外にも意思に反して連行されたものも含めて救出し、裏切り者を逮捕しよう!」と言うが、「隊長は南へ進めと命令された」とヴィスコンティと他の隊員たちは言う。
「9人も病人がいるのに医者はいない。動ける士官は2人で、誰もイヌイットの言葉を話せず、極地探検の経験値もない。生き延びるには隊長を奪還するしかない」リトルは必死に説得するが、「もう皆で採決した。リトル副長が指揮を執ることに不満はない。だが、隊長命令に従う。進むかどうかは強制せず、それぞれが決めることにした。今日、出発する。ソリまで歩けないものは残す。次の野営地が決まって、可能なら迎えに来る」とヴィスコンティ。
リトルはそれでも、「誰も残すなと言う命令は無視していいのか?忠誠を感じるものだけで救出隊を組むのはどうだ?」と食い下がるが、「エドワード、一緒に行こう。生きるためにも」とヴィスコンティは言うのだった。
リトル副長の決断
結局、リトルは皆と一緒に動けない病人を置いて南へと出発した。
仲間が出発することに気づいたジョプリンは必死にテントから這い出てるが、彼らに気づかれることはなかった。
クロージャーに置いて行かれたと思ったジョプリンは、「・・・隊長・・」と呻くように名前を呼んだ。
ヒッキーの強要
「全員出てこい!」
ヒッキーの声で目覚めたクロージャーとディグル。
クロージャーがテントから出ると、テーブルに皆が座り、その近くに食肉にされたグッドサーが寝かされていた。
「殺したかっ。こんな大切な人を!」クロージャーは怒気を孕んだ声で言うが、デヴォーは自分で手首を切った自殺だと言う。
「彼は我々のために身体を提供した。さぁあんたも一緒に食べよう」とヒッキーは言う。
「断る」クロージャーは言うが、強要は止まらない。
心を決めたクロージャーはグッドサーの足元へ立ち、彼が残した言葉どおり、足の裏の肉を切り、食べた
それを見たヒッキーは満足そうに、皆に食べるよう言う。
クロージャーはディグルに微かなサインを送った(食べるな)と。頷くディグル。
「夕食後、我々あの丘を登る」
ヒッキーはそう言うと、銃の柄でトウザーの頭を打ち、気絶させる。
狂気のヒッキー
夜になり、ヒッキーは手かせをつけ、ボートと鎖で繋げたクロージャー、ホジソン、トウザー、そしてゴールディングにボートを引かせ、丘まで登る。
空に向かって銃を撃たせ、「見えるかぁ、化け物!」と叫ぶヒッキー。
ヒッキーはトゥンバックをおびき寄せようとしているのだ。
「あの生き物は弱っている。食べた肉のせいで病気になった」クロージャーは言う。
デヴォーとアーミテージは弱っている今が仕留めるチャンスだ、肉と毛皮が手に入ると言うが、「狙いは別だ」とヒッキー。
ヒッキーはロンドンに戻る気などないと言い、
コーネリアス・ヒッキーを運河に沈めて、成り代わって船に乗った。
どこかの島で脱走し、南の島へ向かうつもりだったが、予定外にもこんな極地に3年もいると。
その時、トゥンバックが向かって来た
最後の死闘
「トゥンバックが魂を吸い取るのを見た。聖なるものが約束される」
持論を展開するヒッキー。
手かせをつけられた狙撃手トウザーは、襲撃の配置を指示するが、グッドサーを食した者は苦しみ出す。
「逃げるものからトゥンバックは襲撃する」
クロージャーは皆にそう言うが、ファーは逃げ、ディグルも逃げる・・・
トゥンバックは容赦なくふたりを喰い殺す。
手かせと鎖で繋がれたままのトウザー、クロージャー、ホジソン、ゴールディング。
ホジソンは手かせをカギで外そうとする・・・
「動くな!動くんじゃない!」クロージャーの言葉もホジソンには届かず、トゥンバックに喰われた。
ボートの下に逃げ込んだゴールディングを襲撃するトゥンバック。
ヒッキーはボートの上からトゥンバックに触れようとする。
トゥンバックがマンソンを食べている間に、トウザーは手かせを外し、銃を持つ。
クロージャーも必死に手かせをカギで外そうとするが、鎖で引っ張られてしまう。
鎖がついたままのトウザーを食べてしまったからだ。
その時ヒッキーが、自分の舌をナイフで切り取り、掌に載せてトゥンバックに差し出す・・。
しかしトゥンバックはヒッキーが操れるものではなかった。
ヒッキーの腕に噛みつき、そのままヒッキーを真っ二つに引き裂いた。
その直後、毒のせいか、苦しみ出したトゥンバックは倒れ込み、吐いて絶命した。
トゥンバックと娘
シャーマンとイヌイットの娘は、トゥンバックを探して移動していたが、途中、”トゥンバックが死んだこと” を感じ取ったシャーマンは、踵を返して戻る。
トゥンバックの死を知った娘は、シャーマンと別れ、トゥンバックを捜してひとり移動する。
娘は死闘があった場所まで辿り着く。(途中で瀕死のデヴォーが助けを求めるが、娘は無視)
トゥンバックはヒッキーを喰ったまま絶命していた。
娘は息を吹きかけ、液体を口に注ぐが、トゥンバックは生き返られなかった。
娘は倒れているクロージャーを見つけ、まだ息の根があることを確かめると、鎖のついた手錠を外そうとするが、外れない。
娘は、クロージャーの手首を斬り落とし、ソリに乗せて運びはじめた。
その途中、無残な遺体のグッドサーを見た。
クロージャーの胸部には、トゥンバックによる深い爪傷があったが、娘はその傷に薬草を張り献身的に看護する。
隊員たちの捜索
イヌイットの娘のおかげで回復したクロージャーは、「部下たちを必ず見つける」と言う。
それが彼のするべき最初のことだったのだ。
娘はクロージャーと共にソリを引いて探索する。
クロージャーは荒れ果てた野営地で、死に絶えているジョプリンを見つけたが、その状況から彼がリトルたちに置いて行かれたことを知り、深い悲しみを感じる。
その南でクロージャーは虫の息のエドワード・リトル副長を見つける。
しかしリトルは彼は何者かによって、顔中にチェーンをつけられていた。
リトルは、「Close(近くに)」と最期の言葉を言って絶命した。
選択
もう部下は誰ひとりとして生存していなかった。
イヌイットの娘は、クロージャーをイヌイットのコミュニティへと連れて行く。
イヌイットの長から、「シルナ(娘の名)から、ひとりになったと聞いた。これからどうしたい?」と聞かれても、クロージャーは何も答えられなかった。
「冬は我らと過ごし、春になったらどうするか決めろ」と長は言う。
クロージャーは、トゥンバックをあのような形で殺してしまった自分を受け入れてくれることに感謝する。
長は、「トゥンバックの最期はどうだったか?」と聞くが、シルナが微かに首を振り、(言うな)と制したのに気づいたクロージャーは答えなかった。
翌朝、コミュニティが移動に備えて支度している中、シルナがいないことに気づいたクロージャーは、彼女はどこへ行ったか?と聞くが、長は、「トゥンバックを失った。ひとりで生きていくのが定め。我々とは居られない。習わしで、皆、理解している」とシルナから預かった ”船の形の彫り物” を手渡す。
クロージャーは荷物を持ち、後を追おうとするが、誰も彼女の行き先を教えようとしない。
「私たちは受け入れた。ここがどこかを忘れずに、君も受け入れろ」と長はクロージャーに言うのだったー。
1850年9月(2年後)
ここが何処であるかを理解し、イヌイットと生活するクロージャーの元に、ふたりの白人がやってきたと知らせが入る。
ジェームズ・ロスと通訳だった。
「どうする?」と問う長に、クロージャーは「こう伝えて欲しい」と頼んだ
<このシーンに戻る>
「キミらが ”頭”と呼ぶアグルカは、探しに来る仲間に長居は無用と伝えろ。船はない。閉じ込められた。道がない。我々はいない。死んで消えた」と。
(完)
ツラかったのは、仲間が南へと出発するのを見たジョプリンがテントから這い出し、(絶対にキミたちを置いては行かない)と約束したクロージャーが、自分を見捨てたと思った時の表情です。
ちがうのにクロージャーはヒッキー捕まってたんだよって教えたかった。
のちにクロージャーが死に絶えているジョプリンを見つけましたが、そこはツラかったな。
興味深かったのは、エドワード・リトル副長の最期です。
顔中にチェーンを付けられた最期は、イヌイットの証言に基づいたものだそうです。
実際は、リトルではなかったようですが、そのような細工をされた遺体があったんだそうですが、理由は不明のようです。
史実ではフランクリン部隊は見つからず、全滅したとされているそうですが、このドラマでは、クロージャーはイヌイットと生活する人生を選びました。
白人で、自分たちの環境を変えた男を受け入れたイヌイットの心の広さも素晴らしいです。
そして、自分たちを探しに来たジェームズ・ロスに、「捜すな。私たちはもういない。死んだ。消えた」と言ってくれと頼んだクロージャーの気持ちをどれほどのものだったのか。
部下を全員死なせてしまった自分だけがイギリスに帰るワケにいかないと思ったのかも知れないし、イヌイットとって大切な精霊トゥンバックを殺したこと、その自分を助けてくれたイヌイットの仲間への気持ちの表れだったのかも知れません。
単純に、イヌイットとの暮らしが幸せだと思ったとも言えるでしょう。
だけど私は、自分への罰の意味があったように思います。
ドラマ後半のクロージャーは、フィッツジェームズが呟いたように、神のような心の広さでしたし、3度振られても結婚したかったソフィアに会いたくなかったハズがありません。
だけど、帰ってもイギリスに幸せがあるとは思えなかったのでしょうね、きっと。
「ザ・テラー」のシーズン2、配信はありますが、まったく内容は別ものだそうです。
こちらが日本人出演のホラードラマですね。
よって北西航路探検フランクリン隊の話は完全エンドです。
これは見応えのある良いドラマを見たな~と思いました。
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