Netflixリミテッドシリーズ全7話の「私のトナカイちゃん(Baby Reindeer)」
#4
マーサからのストーカー被害を通報するため警察署にやって来たドニーは、5年前のエディンバラでのツラい過去を呼び覚ましてしまう。
まとめ
序章
マーサと出会って半年、ようやくストーカーの被害届けを警察署に出す決心をしたドニーだったが、マーサにテリーが襲われたこと、股間を弄られたこと、そしてマーサに前科があることを警官に話せないドニー。
警官から、「どうしてもっと早く来なかったのんですか?」と言われたドニーには、5年前の記憶が蘇っていた。
5年前のこと
エディンバラ・フェスティバルにパフォーマーとして参加することが夢だったドニーは、やる気満々でエディンバラ入り、パフォーマーとして1ヶ月間パブでコメディショーの契約をするが、そこは寂れたパブで、客の興味はパフォーマンスよりサッカー。
ドニーは誰も見ていない状況で毎日コメディ・ショーをやるが、まったくウケず、投げ銭は小銭ばかり。
そんなある日、店主は、”エディンバラ・フリンジ”の会員制カードを渡すと、「客の落とし物、行ってみたら?」と言う。
男との出会い
プロデューサーや脚本家との出会いを求めて”エディンバラ・フリンジ”へと入ったドニーは、そこで”コットンマウス”の脚本家ダリアン・オコナーと出会う。
すると翌日の客の中にダリアンの姿が!
ドニーは気合を入れてがんばり、いつもよりはウケた。
するとダリアンは、「ショーのレベルを上げるアドバイスをしてやろう」と言い出す。
ドニーにとって最高の申し出だった。
それから数週間、ダリアンはドニーのショーに関わるようになった。
ダリアンのアドバイスでパフォーマンスをすると、どんどんウケ始める。
ショーのあとは毎晩朝までダリアンと会員制バーで仕事について語り合った。
ドニーにとって夢のような毎日だった。
しかしダリアンはドラッグを勧め始める。本音は拒否したかったが、「ふたりで一緒の脚本を書こう」と言われると断れないドニー。
しかしそんな夢のような日々は、ダリアンがロンドンに戻ったことで終りを迎えた。
ドニーのパフォーマンスはウケなくなり、そして1ヶ月の契約が終わった。
ダリアンを求めるドニー
ロンドンに戻ったドニーは、落ち続けていたオックスフォードの演劇クラスに合格、演劇を学ぶ毎日だった。
元カノのキーリーとは演劇クラスで出会った。
しかしエディンバラで夢のような1ヶ月弱を過ごしたドニーは、演劇クラスでの授業が無意味なものに思えて仕方がなく、もう一度ダリアンに会いたいと言う気持ちが高まっていた。
ダリアンが与えてくれる自信や成功できるかも知れないと言う希望を与えて欲しかったのだ。
ダリアンからの連絡
そんなある日、ダリアンから電話が。「オレと一緒に脚本を書こう」と言う誘いに乗ったドニーは、ダリアンの家を訪ねる。
ドニーは自分が書いた脚本を見せるが、ダリアンは読もうともせず、簡単なプレゼンをさせると、「練り直せ」と一言。ドニーは一度読んで欲しいと言うが、ダリアンは、「読むのは認めてからだ。それよりハイになってエディンバラの時のように飲もう」と言い出す。ドニーは躊躇を見せるが、ダリアンから、「オレの言うことを聞いたものは皆、スターになった」と言われ、勧められるままにMDMAとGHB(弛緩剤)を服用。
完全にイッてしまったドニーに、「キミは才能がある」と言うダリアン。
ドニーはそれが心地良かった。
だがその後ドニーはダリアンから下半身を弄られてしまう。
ドニーは、「・・・やめろ」と絞り出すが、結局、「悪かった」と謝ってしまう。
深み
それで終わったと思いたかった。だがまたダリアンから連絡が来た。
躊躇しながら電話に出たドニーにダリアンは、ドニーの書いた脚本がプロデューサーの目に止まったと言う。
そう言われたら、ダリアンに会うしかなかった。
ダリアンは、「シリーズ化の話しが出てる」などと美味しい話しでドニーを釣り、毎回新しいドラッグを勧めた。メス、コカイン、ヘロイン・・ありとあらゆるドラッグを毎週末試し、意識を失うドニー。
目覚めると、ドニーの下半身は弄ばれた形跡が・・・だがドニーはそれが成功に繋がると信じていたのだ。
キーリーの誕生日の夜、ドニーはキーリーを放ってダリアンの家へ。
その日ドニーはLSDを試す。
ダリアンはアフリカン・ミュージックをかけると、「音楽に身を任せるんだ」とドニーに目の前で踊りだす。
55才の男が20代半ばの男の前でダンスしている現実に我に返ってしまうドニー。
ドニーはLSDの幻覚と、正常な考えが入り混じりパニックになり、意識を失った。
ドニーはダリアンにレイプされた。
悪夢、苦しみ
レイプされたドニーはその後、恋人キーリーとできなくなってしまい・・・結局別れることに。
時が経てば、この苦しみは薄らぐと思っていたが、そんなことはなかった。
ダリアンのせいでこうなったのか、それとも自分が持つ何かがすべてを招いたのか。
ダリアン殺したい欲望が芽生え、憎しみ、怒り、抑圧と混乱の末、男同士のセックスを見ないと興奮できない自分。性が倒錯し、苦しんだドニーは、あらゆる性別の人と無防備なセックスに溺れた。またレイプされるような危険な場所にも出向いた。レイプされれば売春婦のように身体と自分を切り離せるかも知れないと考えたが、違った。地獄のようだった。
結局
どん底に落ちて何十人もの人とデートをした。恋愛に興味があったのではなく、性別関係なくデートし、答えが欲しかったのだ。だが、ひとり残らず拒否してしまう自分。
そんな中ドニーは、テリーとの出会い、彼女の頭の良さや、ユーモア、自信に満ちて強いところに惹かれた。
だが手を握られ、性的な関係を迫られると一瞬にしてそれを拒否してしまう自分。
だがマーサと出会って以降、混乱が薄れてきたのだ。
マーサは、世間の皆に見られたいように自分を見てくれる存在だったのだ。
マーサは病気、本当に通報するべき相手は悪質で人を操る最悪の男ダリアンであるべきだと。
マーサのことを言えば、ダリアンのことを言うことになる。
だから警官から、「どうしてもっと早く来なかったんですか?」と聞かれた時、ドニーは、「わかりません」と言ってしまったのだったー。
感想
今回はドニーの過去が明らかになりましたが、イヤ~重い。
ドニーの優しい性格と、あまりにも酷い経験がマーサへの同情に形を変えてしまったんでしょうね。
トランスジェンダーのテリーに惹かれる理由も、その背景があったからなのかも。
「私のトナカイちゃん」みたいな軽いテイストじゃないですよね、この話し。
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