ニューヨークの超正統派ユダヤ教徒のコミュニティから逃げ出したエスティがドイツ・ベルリンで新たな自分探しをするストーリー。
原作はデボラ・フェルマン。2009年、23才でコミュニティから逃げ出したデボラの自伝をドラマ化。
ゴールデングローブ賞にもノミネートされたドラマです。全4話。
#1 あらすじ
ニューヨークの超正統派(ハシディズム派)ユダヤ人社会で生まれ育ったエスティは、虚しい結婚生活を1年間送ったあと、新しい人生と自由を求めてドイツ・ベルリンへと逃亡する。
相関図
まとめ
ユダヤ教の安息日(土曜日)
エスティの決心
ニューヨーク、ウィリアムバーズに住むエスティは安息日の今日、隠していたお金と最低限の必需品、そして祖母の写真を洋服に包み、ビニール袋に入れてエントランスへと降りるが、そこには正統派ユダヤ教コミュニティの仲間が集まっていた。どうやら強風で結界(エルブ)のワイヤが切れ、外出はできなくなっているらしい。
コミュニティの仲間から、「外出はムリよ、カバンは家に置いて行かなきゃ」と注意され、一旦部屋に戻ったエスティは、必要なものだけをウェスト部分に挟み、手ぶらで外へと出る。
ユダヤ教では安息日に外出をしてはいけない掟があり、クルマの運転、家事労働のすべてが禁止されているが、それでは日常生活に支障がでるため、透明のワイヤーを張り巡らせ結界(エルブ)を作り、その内側だけは家の中にいるのと同じと言うルールを作っている。
安息日のあいさつは、「シャバット」と言い、男性は丸い毛皮の帽子を被る
エスティが向かったのはヴィヴィアンの家。エスティは大金を支払いパスポートと航空券を受け取る。
ヴィヴィアンはエスティのためにタクシーを呼ぶと、プレゼントを渡し、送り出す。
エスティが向かったのはJFK空港。
騒動
安息日に実家に顔を出さず、ケータイ電話を置いたまま消えたエスティ。
一晩待っても帰宅しなかったためヤンキーは、「エスティがいなくなった。ボクを捨てたんだ」と両親に相談する。父シムカはラビを呼び、家族を集めた。
ラビは、「道に迷った仲間を放っておけない。悪い前例になっても困る。エスティを見つけ出し夫の元に返す」と言い、エスティの捜索を夫ヤンキーと、従兄弟のモイシェに指示するが、家庭生活に問題を抱えるモイシェは適任ではないと父シムカ。だがラビから、「罪を憎んで人を憎まず。神を信じるのだ」と諭される。
エスティの捜索
エスティの実家
エスティの実家を訪ねたヤンキーとモイシェは、「エスティが昨日から家に帰っていない」と言うが、当然マルカはエスティの居場所など知らなかった。マルカは仕方なく嫁ぐ前のエスティの部屋を調べるよう言う。ヤンキーはベッドの下から、楽譜とピアノの鍵盤の絵を見つける。
ヴィヴィアンのアパート
ヤンキーとモイシェはヴィヴィアンを訪ねると、有無を言わざす部屋へと入り、「エスティはどこだ?」と迫る。
ヴィヴィアンはヤンキーに、「あなたがピアノを辞めさせた夫ね?」と反撃するが、モイシェは、「エスティの居場所を言わないなら、電気やネット、すべてを止め、賃貸契約も解除するぞ」と迫る。
衝撃の真実
脅され、エスティがベルリンに行ったと話してしまったヴィヴィアン。
「お前がピアノレッスンなど受けさせたのが悪かったんだ」とヤンキーを責め、ケータイ電話を知らべたモイシェは、留守番電話が残されていることに気づく。
その留守番電話は産科からで、エスティは妊娠していた。
エスティがベルリンにいると報告を受け、「今夜出発しろ」とラビ。
しかしベルリンに在住していた経験があるらしいモイシェは、「いい思い出がない。行きたくない」と拒否するが、ラビは、「エスティを連れ戻せば神の恩恵がある。借金はなくなり妻子ともやり直せる」と説得、ふたりはベルリンに向かう。
エスティ
ドイツ、ベルリン
ドイル、ベルリンに降り立ったエスティは市内に向かうタクシーの中で自由を感じ涙する。
エスティが訪ねたのは母リア・マンデルバウムのアパートだった。しかし呼び鈴を押しても反応がなく、エスティは近くのベンチで母の帰りを待つことに。
しかしエスティは恋人と仲睦まじくする母を見て、逃げるように去ってしまう。
ロバートとの出会い
カフェでコーヒーのオーダーに戸惑うエスティを助けたのはロバート。
エスティはたくさんのコーヒーを運ぼうとしているロバートの手伝いを買って出る。
カレは”シャルハルム音楽院”の学生だった。
これからリハーサルをすると聞き、エスティはこっそりとホールの後ろでその様子を見るが、その美しい音色に感動する。
リハーサルを終えたロバートたちに、「素晴らしいコンサートだった。あんなに美しい音楽を聞いたのは初めて」と感想を伝えるエスティ。
エスティは、ロバートたちがみんなでヴァンゼー湖に湖水浴に行くと言うので、「私もいい?」と頼む。
ロバートたち
はじめてベルリンに来たと言うエスティにロバートたちは、ベルリンの観光地を教え始める。
彼らは皆、移民で、ダシアはイエメン、アハメドはナイジェリア、そしてヤエルはイスラエル出身でドイツ人はロバートだけだと言う。
エスティが超正統派ユダヤ教徒であることなど知るすべもないヤエルから、「ユダヤ人虐殺記念碑の前で自撮りできる、戦争のことはロバートに聞いて」と軽口を言われ、思わず、「祖父母は家族を殺された」と言ってしまうエスティ。しかしヤエルは、「イスラエルもよ。国防に忙しくて過去を嘆く暇もないけどね」と返されてしまう。
ヴァンゼー湖
湖に到着するなり服を脱ぎ、水着になったロバートたちは、湖に一直線。
その見慣れない光景に唖然とするエスティ。
するとロバートは、「この先に見える建物で1942年、ナチスがユダヤ人を収容して殺すことを決めた別荘だ」と説明する。エスティは、「そんなところで泳ぐの?」と言うが、「湖には罪はないから。ベルリンの壁が崩壊するまではこの湖を泳いで西へ逃れようとする人は東ドイツ兵に撃ち殺された。今はどこまででも泳げる」と言う。
「荷物を見てるから泳いでくれば?」とダシアに言われ、エスティは唯一の持ち物である封筒(パスポートとお金と祖母の写真)を渡すと、洋服のまま湖へと入って行くー。
おもぬろにウィッグを脱ぎ捨てると、そのまま湖に身を委ね浮かぶのだった。
今夜の寝床
ベルリンまで戻ったものの行くあてのないエスティ。
ダシアから音楽院は夜中まで空いていると聞いた聞き、窓から忍び込み、一夜を過ごすことに。
エスティの過去
叔母マルカから縁談を持ちかけられたエスティ。
スーパーマーケットを歩く姿をシャピロ夫人に審査され、OKが出たエスティはシャピロ家に招待され、はじめて夫となるヤンキーと対面する。
恥ずかしそうにする控えめなヤンキーにエスティは、「私は普通じゃないの。他の女の子とは違う」と言うが、ヤンキーの返事は意外にも、「いいことだよ」だった。その言葉に笑顔になるエスティ。
ヴィヴィアンとの出会い
両親は離婚、父親はうだつの上がらない男で、母親は離婚後ドイツ、ベルリンに移住し恋人と暮らしていた(レズビアン)。
ある日エスティは、父親と共に家賃滞納している借主の音楽家のヴィヴィアンに取り立てに行く。
ヴィヴィアンは、「家賃は必ず払う。2週間だけ待って欲しい」と言い、ピアノを見つめるエスティに、「興味があるならピアノを弾きに来たらいい、教えてあげる」と言う。
母との確執
エスティが結婚すると聞き、会いに来たのは母リア。
リアは祝福の言葉を伝えると、「逃げたくなった時のために持っていて欲しい」と”帰化許可申請書(ドイツ国籍を取得するための書類)”を手渡す。エスティはそんな母親の行動に、「結婚するのよ?夫と子どもと温かい家庭を作る。それこそ私が求めていたもの」と怒り書類を受け取ろうとしないが、リアは書類を置いて去る。
感想
不思議な縁で娘は現在ポーランド在住。
そんな理由から私は3度ポーランドを訪れています。
ポーランドと言えばナチス・ドイツのユダヤ人迫害、虐殺のホロコースト政策で建てられた施設、”アウシュビッツ、ビルケナウ”があります。これは負の遺産としてあまりにも有名ですよね。
私は2度見学に行きました。
またポーランドのクラクフの街にはカジミエシュ地区があります。
カジミエシュは映画「シンドラーのリスト」の舞台になった場所で、第二次世界大戦中、この地区にユダヤ人居住区=ゲットーがありました。
カジミエシュには今でもユダヤ教の教会シナゴーグがあり、超正統派ユダヤ教徒を見かけることができます。
男性はまさしくこのドラマに出てくる装い。白シャツに黒スーツ、黒いツバ帽子、その中にはキッパ(丸い帽子)、伸ばしたもみあげをクルクル巻き、ヒゲを伸ばしてる。
戒律が厳しく、既婚女性は髪を剃り、外出時はスカーフやウィッグを着用、スカートはヒザ下。ブラウスのボタンはすべて留め肌の露出をしない。派手な色や模様の服は避けると言うドレスコードまであるそうです。
戒律は正しい服装だけじゃなく、言葉を交わす相手、読んで良い本などすべてはしきたりで決められており、英語使用は禁止。女性は人前で歌うことを禁じられているそうです。
ドラマでも何語?と言う言葉で話している正統派ユダヤ教徒たち。
彼らの話している原語は、イディッシュ語だそうです。
説明が長くなりましたが、そんな理由もあり、ユダヤ教、ユダヤ人の方々に興味を持っているためにこのドラマを選びました。全4話。
4話の中でユダヤ教、宗教にも触れていこうと思います。
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