今回のエピソードはアメリカにおける黒人問題に特化したエピソードです
#12 革命は突然に Sign 0′ The Times あらすじ
シアトルでは各地で人種差別デモが起き、積極的にデモに参加するリチャード。しかし平和的デモのハズが、どんどんエスカレート、警察は催涙弾やゴム弾で圧力をかけはじめ、ERには次々とデモで負傷した参加者が搬送される。
そんな中ベイリーは、「コロナ感染は儲け主義の病院の策略だ」と勝手な解釈を豪語する患者を担当することに。
相関図
まとめ
患者とベイリー
ジョギング中に倒れERに搬送されてきたアンダーソン。
息切れと足の炎症に加え、酸素飽和度が88%にも関わらず、「吸入器の処方をしてくれたらいい」と言う。
担当したベイリーは、コロナ感染の可能性を指摘するが、アンダーソンはマスクを外して、「オレは騙されないぞ。コロナ感染は病院が金儲けするための詐欺だ」と言い出す。
しかし結果はコロナ陽性。
ベイリーはレントゲンを見せ、病状を説明(両肺が典型的なコロナ肺炎で、足の炎症はコロナ感染による血栓で動脈閉塞)するが、アンダーソンは、「ちょっとした風邪が病院に莫大な利益を生んでるんだろ?」とまったく信用しない。
コロナ感染で母親を亡くしたベイリーは怒りを必死で堪え、「お願いです、治療させて。命に関わる」と言うが、アンダーソンは治療拒否、勝手に退院してしまう。
しかしその後、ERの外で倒れているアンダーソンが発見される。
ベイリーとテディは懸命な蘇生を試みるが、アンダーソンは亡くなってしまう。
「提案した治療を受けてくれたら治せた。拒否されては助けられない」と苛立ちと虚無感を抱えるベイリー。
動き出した社会
デモ
町では人種差別反対のデモが活発化。ベイリーはデモによる負傷者搬送を想定し、準備に余念がない。
これまでもデモに参加してきたリチャードは、「これも命を救う行為だ」とデモに参加するが、警官と参加者が衝突、警察が催涙弾やゴム弾を使ったため、負傷者が次々と搬送されてくる。
その中にはヘイズの姿も。
ヘイズは子どもたちと共にデモに参加していたが、子どもたちを襲ってきたネオナチ(デモに抗議する者たち)を止めに入り、こん棒で殴られたのだ。
ヘイズは、「傍観者じゃなく変革の一部になりたい」とデモ参加を訴える子どもたちを自宅へ帰らせてしまう。
患者ネル
デモで左肩に催涙弾を受け、刺さったままのネルを搬送して来たリチャードは、「デモは平和的だったのに」と警察の行動を残念がるが、「何かが変わろうとする空気があった」とデモに参加したことに高揚している様子を見せる。
患者ガイ
デモで胸にゴム弾を受け危険な不整脈を起こしたガイが搬送されて来た。
「穏やかにデモしてたのに、催涙弾が飛んできてみんなパニックになった」とガイ。
ジャクソンの焦り
社会が変わろうとしている今、何かをするべきと、オーティス医師と共に、【低所得者への無料医療案】を作成、母キャサリンに提案するが、病院の財政難を理由に保留にされ、焦りを感じているジャクソンは、「提案書を作ったのに母はそれをOKしない。オレはデモに参加した経験もない。だけど参加しなくてもできることはある。貢献できる。それって逃げだと思うか」とリチャードに聞く。
「不平等とどう向き合うかは個人の自由だ」とリチャード。
無事手術を終えたネルを見舞うリチャード、ヘイズ、ジャクソン。
ネルは長年デモ活動をし、これまでも大怪我を経験している言い、「11歳(1963年)の時、ワシントン大行進に参加してキング牧師の演説を聞いた。あの演説は忘れない。もしカレの夢が叶えば何でもできると可能性を感じた。だからデモに参加して傷を作る価値がある」と。
その話に、感動する3人。
マギーとウィンストン
ウィンストンはマギーとの新居を決めようとボストンからクルマでアメリカを横断していた。
長距離運転を心配するマギー。
恐怖
その心配が的中してしまう。
マギーと(ハンズフリーで)電話をしながら運転していたウィンストンは、パトカーから停止を求められたのだ!
ウィンストンは近づいてきた警官に、「何故止められたんですか?速度違反もしていない」と聞くが、警官はそれに答えず、「携帯電話を切って」と要求。
マギーは、「このまま電話を切らないで!」と言うが、警官はウィンストンに再び電話を切るよう要求。ウィンストンは警官に従うしかなかった。
黒人であることの現実
電話を切られてしまったマギーは、ウィンストンと連絡が取れず動揺するが、ガイの容態が悪化。ガイに手術(アブレーション術)が必要になる。
リチャードを呼び、「どうしたらいいかわからない」と動揺するマギー。
リチャードは、「キミは患者を助けろ。もうしばらく待って連絡が取れなかったら、私がカレを探しに行く」とマギーを励ます。
無事ガイの手術を終えたマギーは、ようやくウィンストンの電話が繋がった。
「やっと解放された。飲酒と薬物の検査をされ、トランクの中まですべて調べられた。警察犬に荷物とオレすべてを嗅がれた」ウィンストン。
「どうしてどこまで・・・」と言うマギーにウィンストンは、「オレを見て。だからそういうことなんだと思う」と。
「落ち着くまで運転できそうにない・・」と言うウィンストンにマギーは、「私がついてる」とずっと声をかけ続けるのだった。
シュミット
メレディスの容態
メレディスは呼吸器から離脱できたものの、眠り続けていた。
ベイリーとテディはメレディスを高気圧酸素ルームで治療することに。
担当になったシュミットは、「酸素をたっぷり吸って癒やされて」とメレディスを治療室に入室させるが、チー医師が術後感染症を起こした患者も同時に治療して欲しいと入室して来た。
「グレイ先生は意地悪って聞いたけど?」と問うチー医師に、「コロナ患者に挿管できるようになったのはグレイ先生の指導のおかげ。縫合も先生に教わって、だんだん上手くなってる。何かに対処する時、先生の声が聞こえる気がする。最も影響力のある人だ」とシュミット。
突然の事態
チー医師の患者のセデーションが切れ、バッキングが起こったせいで腹部の縫合が裂けてしまった。
「どうしたら良いんだ」と慌てるチー。その時シュミットにメレディスの声が聞こえた。
「電話してこの部屋を減圧。オペ室を予約して。それから・・・」と的確に対処をはじめるシュミット。
バッキングとは、患者が覚醒、咳、むせる等で呼吸器とリズムが合わなくなること
シュミットの活躍を聞き、「あんたはすごい、患者を救った」とジョー。
「患者の傷が開いた時、固まった。だけどそこからずっと頭の中で声がしたんだ。グレイ先生ならどうするって」と言うシュミットにジョーは、「私も前はそうだった。これからも声を聞き続けて」と言う。
ジョーは専攻を産婦人科に変えることに。
”生きるにふさわしい国にしよう”
ヘイズ
帰宅したヘイズは子どもたちに、「お前たちを守りたくて家にいるよう言ったが、オレが間違っていた。ここはお前たちの国で、今が変革の時だ。昼間、パパと一緒の時ならデモの参加をOKする」と気持ちを伝えた。
ジャクソンの思いとキャサリンの思い
ジャクソンは、「財団は世の中の変化に貢献して来たか?外では大変なことが起きてるのに俺たちは無傷だ」とキャサリンを責めるが、「俺たち?私は違う。私がどれだけ戦い、今を勝ち取ったかあなたは分かっていない」と黒人医師が今の地位を得るまでの苦労を分かっていないとキャサリン。
それでもジャクソンは、「改善のために早急に何か手を打つべきだ」と言うが、キャサリンは耳を貸そうともしない。
その夜、ジャクソンはひとり11時間かかるどこかへとクルマを発進させるー。
マギーとウィンストン
無事、ウィンストンが到着した。
「生きてキミの元へ戻ることだけを考えた」と言うウィンストンと抱き合うマギー。
感想
今回のエピソードは、去年、プロテニスプレーヤーの大坂なおみ選手がマスクで抗議した人種差別問題を題材にした社会派エピソードでしたね。
コロナ渦の影響もあってか、シーズン17は社会的エピソードがとても多い印象です。
速度違反もしていないのに、警官に止められたウィンストン。
薬物、飲酒検査だけじゃなく、すべてものを検査され、それを放り出されて解放される現実は、日常のことなんでしょうね。
あまりにも尊厳を無視していると思うけれど、そこで一度抵抗すれば、警官に傷つけられ、場合によっては犯罪者にされてしまうのだろうと。
ウィンストンがクルマの中で警官を待っている時、両手をハンドルに・・などと不審な動きを取らぬよう細心の注意を払っているシーンが印象的でした。
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