「ブレイキング・バッド」の最終話です。
このドラマが名作だと言われる所以を十分に感じました。
しっかり練られた脚本に、素晴らしい演技力の俳優陣。
最後のレビューです。
#16 フェリーナ Felina あらすじ 最終話
すべてのことの落とし前をつけるため、アルバカーキに戻る決意をしたウォルター。
「ブレイキング・バッド」最終話。
相関図
まとめ
アルバカーキ
(このエピソードの続き)

シュワルツ夫妻
ウォルターはクルマを盗み、新聞記者を装うと、シュワルツ夫妻のスケジュールと現住所を突き止め、彼らの帰宅を待っていた。程なくして帰宅したシュワルツ夫妻は、侵入したウォルターに驚く。
ウォルターは彼らの邸宅を褒めると、「インタビュー番組を見たよ。渡すものがあって来た。クルマの中にある。一緒に運んでくれ」と言い出す。
エリオットは果物ナイフを向けるが、「そんなもんじゃ殺せない」とウォルター。
結局、ふたりはウォルターの指示で、927万ドルの札束をリビングに運び込まされた。
そのカネを前にウォルターは、「私が稼いだカネだ。子どもたちに渡してくれ。10ヶ月後、ジュニアは18才になる。その時に取消不能信託で好きなように使えと渡してくれ。願わくば大学の学費と家族のために使って欲しいが」と言い出す。
「自分で渡せばいい」と言うグレッチェンに、「私は家族に憎まれてる。私では受け取らないし、受け取っても没収されるだけだ。裕福で慈善活動に熱心なキミたちからなら受け取る」とウォルター。
それでもグレッチェンは、「私たちから渡す理由がない」と言うが、ウォルターは、「子どもたちは凶悪な父親の犠牲者だ。キミたちの旧友の子どもだ。理由は何でもいい。キミたちのカネは使わず、ここから出せ。それだけを頼む。信じていいか?」と手を差し出す。
エリオットは同意し、握手を交わすが、更にウォルターは、「一流の殺し屋を雇った。明日私に何か起きても、殺し屋がキミらを狙ってる。子どもたちにカネが渡らなければキミらの未来はない。約束を守れば良いだけだ」とふたりを脅し、命がかかった果たさなければならない絶対の約束にしたのだった。
もちろんそれはウォルターの画策。
ウォルターはバッジャーとスキニー・ピートを雇い、レーザーポインターで銃の赤い照準を演出、恐怖で彼らを操縦したのだった。
ウォルターはバッジャーから、「最近またブルーメスが市場に出回ってる。質の高さからあんたが作ってると思った」と言われ、ジェシーがジャックらにメスを調理させられていることに気づく。
次の作戦
アルバカーキに戻ったウォルターはその日52才の誕生日を迎えた。
ウォルターはダイナーで男からマシンガンを購入すると、自宅に戻り、コンセント裏に隠していたリシンを手に入れる。

リディア、トッドと接触
ウォルターはカフェで会うリディアとトッドを待ち伏せし、ふたりの前に突然現れる。
驚くふたりにウォルターは、「2分だけ時間をくれ。そろそろメチルアミンが切れるだろ?メチルアミンなしで作る新しい製法がある。それをトッドに教える。カネがいるんだ。100万ドルでどうだ?」と持ちかける。
戸惑うリディアとトッドをよそにウォルターは、「ジャックに話せば乗ってくるハズだ」と言い、今夜ジャックらのアジトを訪ねると言い残しカフェを去る。
突然の展開にトッドは、「この話に本当に乗るんですか?」と聞くが、「乗るわけない。今更説明させないで」とリディア。
作戦スタート
ウォルターは荒野で何やら準備する。
スカイラーに会う
マリーから電話がかかった。
「ウォルターのことで知らせたいことがある。休戦よ」とマリー。
マリーは、アルバカーキの町のあちこちでウォルターの目撃情報があると言い、「カレが行くとしたら私かフリン(ジュニア)か姉さんのところよ、用心して」と電話を切るが、既にウォルターはスカイラーの家にいた。
「ナゼ戻ったの?」と聞くスカイラーに、「別れを言いに来た。あんな電話じゃなくて」とウォルター。
ウォルターはスカイラーがジャック一味から恐喝されたと聞き、「彼らとも今夜で終わる。私が去ったら、押し入られたと通報しろ。そしてこれを渡されたと言うんだ。この数字は座標だ。そこにハンクとゴメスが埋葬されてる。その座標の場所にカネを埋めていたが、ヤツらが私のカネを奪い、そこにハンクらを埋めた。この情報で検事と取引するんだ。解放される。スカイラー、私のしたことはすべて・・・」と言うウォルターにスカイラーは、「言わなくてもわかる。どうせ家族のためと言うんでしょ」と言うが、「自分のためだ。好きでやった。才能があった。それに心から生きてるって実感できたよ」とウォルター。
「もうすぐフリンが帰宅する」と言うスカイラーにウォルターは、「出ていく前に娘に会いたい」と言う。
スカイラーはそれを承諾、ウォルターはホリーとも最後の別れをした。
その後ウォルターは、帰宅するジュニアを影から見つめるのだったー。
落とし前
ウォルターが向かったのはジャック一味アジトだった。
身体検査され、財布とクルマのキーを没収されたウォルターは、「ビジネスの話しをしよう」と言うが、「乗る気はない」とジャック。
トッドが、「あなたは戻ってくるべきじゃなかった。すいません」と言った途端、ケニーがウォルターに銃を突きつける。
「連れ出して始末しろ」と言うジャックに、「お前には貸しがある。ジェシーを殺すと言っておいてパートナーにしてるだろ?あいつは生きてる。メスを作らせてる」とウォルター。
ジャックは、「生きてたってパートナーじゃねぇ。侮辱しやがって。間違いだって分からせたら、俺がお前を始末する」と言うと、ジェシーを連れて来るよう指示する。
ウォルターは、ジェシーを連れて来られるほんの隙きに、ビリアード台に置かれたクルマのキーを手にする。そこにウォルターの目の前に、手かせ、足かせを付けられたジェシーが連れて来られた。
「これで納得したか?どう見てもパートナーではないだろ」ジャックはそう言うと、手下にウォルターを始末するよう指示するが、ウォルターは雄叫びをあげてジェシーに飛びかかる。倒れて揉める2人を笑いながら呆れるジャックたち・・・次の瞬間、クルマに仕掛けてあった機関銃が作動、ジャックたちは銃撃を食らう・・・。
次々とジャック一味が撃ち抜かれて行く中、ウォルターはジェシーに覆いかぶさり、庇い続けた。
マシンガンが止まった。
しかしトッドは生きていた。
ジェシーは、すべての怒りと恨みをこめ、トッドに襲いかかり、首を締めて殺害する。
ジャックは息絶え絶えだったが、ウォルターに銃を向けられ、「待て。カネがどこにあるか知りたいだろ?死ねば永遠に・・・」と交渉しようとするが、全部を話し終わらないうちにウォルターはジャックを撃ち殺した。
ジャック一味を全滅させたウォルターは、無言のまま銃を滑らせてジェシーに渡す。
それを拾い、ウォルターに銃を向けるジェシー。
「殺せ。望んでたんだろ」と言うウォルターにジェシーは、「殺して欲しいって言えよ、言わなきゃ撃たねぇ」と言うが、右脇腹を撃たれているウォルターに気づいたジェシーは銃を下ろし、「死にたきゃ自分でやれ」と言い残し、部屋を出ていく。
その時、トッドのケータイが鳴った。
電話の相手はリディアで、「終わった?カレは死んだ?」と聞く。
ウォルターは、「あぁ終わったよ、全員あの世だ。私はウォルターだ。リディア、体調が悪いだろ?それはリシンのせいだ。甘味料をすり替えておいた。ではお別れだ」と言うと、ケータイを投げ捨てた。
終焉
ジャックを一網打尽にし、落とし前をつけたウォルターは、ジェシーを見つめ、頷く。
ジェシーは、ほんの僅か頷くと、そのままクルマで立ち去って行ったー。
ひとりになったウォルターはジャックたちのラボへと入り、懐かしむように器材を見て廻ると、満足そうな表情を浮かべ・・・
ずり落ちるように倒れ、最期を迎えた。
そこへ駆けつけた警官たち・・・。
感想
素晴らしい作品でした。
不思議なのは、ウォルター・ホワイトという人物が好きではないのに、カレの気持ちが理解できること。
カレがスカイラーに語った本心、「私のしたことすべては自分のため。好きでやった。才能があった。それに心から”生きている”と実感できた」さえもわかる。
ウォルターとジェシーの別れのシーン、良かったな・・・。
何も言わず、ただ見つめ頷くウォルター。それを受け、理解した表情で頷くジェシー。
後半、ジェーンのこと、ブロックのことでウォルターを恨んでいたジェシーだけど、最後の最後に、これまでのすべての落とし前を付け、ジェシーを助けたウォルターの思いは届いたような気がしました。
この作品は、2008ー2013年。今から10年以上も前の作品なのに、それほど古さを感じない。
アメリカ社会をリアルに描いたエンタメ作品なんでしょうね。
さて、逃げたジェシーのその後を描いたのが、映画「エルカミーノ」です。
せっかくなので、見ようと思っています。
その後、「ベター・コール・ソウル」を見ようかな。
ありがとうございました。
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