もしも極限状態に陥ったら、人間の、友だちの肉を食べるのか
想像することさえ不可能なほどの極限状態で、人間が人間であることを保つことの難しさを見せつけられます。
ドラマ「ハンニバル」とは違う、極限状態でのカニバリズム問題です。
主な登場人物
キャスト名 | 説明 | |
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フランシス・クロージャー | テラー号艦長 新隊長 |
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エドワード・リトル | 副官 | |
トーマス・ジョプソン | 海尉に昇進 | |
■ジェームズ・フィッツジェームズ | 副官 | |
反乱グループ | ヘンリー・グッドサー | 軍医 |
■ジョン・ブリジェンス | 医師助手 ヘンリー・ペグラーを可愛がっている |
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反乱グループ | ジョージ・ホジソン | 海尉 |
L・ヴェスコンテ | 士官 | |
トーマス・ブランキー | 水先人(艦長を支えるアドバイザー) | |
■トーマス・ハートネル | ||
反乱グループ | コーネリアス・ヒッキー | 修理工 |
反乱グループ | ■ウィリアム・ギブソン | 給仕 |
反乱グループ | マグナス・マンソン | ヒッキーと一緒に イヌイットの娘を捕らえた |
反乱グループ | ソロモン・トウザー | 狙撃手、軍曹 |
レディ・サイレンス | イヌイットの娘 | |
ロンドン | ジェーン・フランクリン | 故ジョン・フランクリンの妻 |
#9 大いなる海 The C, The C, The Open あらすじ
トゥンバックの襲来で混乱する中、ヒッキー率いる反乱グループは隊を離れた。
クロージャーは多くの隊員を失ったが、南へ進むしかないと鼓舞し、前進を決意する。
一方、ヒッキーのグループも食糧難で苦しんでいた。
まとめ & 感想
1848年4月 その翌日
ジェーン・フランクリンの活動
ジェーンは友人の作家チャールズ・ディケンズの協力を得て、消息不明のフランクリン探検隊の捜索活動のために資金援助をして欲しいと演説するなど精力的に活動を続けていた。
クロージャー部隊
南へ
32人の隊員が死亡、23名が行方不明となった。
ホジソン海尉とグッドサーの姿もなく、行方不明なのか、反乱グループに同行したのかもわからない。
遺体は頭部のない惨殺死体もあれば、ヘザーのように、大ケガを負い、意識がないのに生きている隊員もいた。
「133名で3年前ロンドンを発った。こんな悲劇は想像しなかったが前に進むしかない。南へ向かおう」クロージャーは隊員を鼓舞し、出発を決めた。
クロージャーは、恐怖に駆られて行動した者もいる。彼らの生き延びるチャンスを奪う気はない。また会う日が来たときは、違う選択をしてもらうよう、運べない荷物はひとつにまとめて捧げものにしようと言う。
フィッツジェームズは、クロージャーの深い愛に触れ、感動する。
死体は火葬され、彼らは南へと出発した。
前途多難
ボートを引き、南へ進むが、体調の悪い隊員が続出する。ブランキーも足が痛みスピードが出ず、フィッツジェームズは倒れてしまう。
彼の古傷(銃創)は穴が開いてしまったのだ。
ボートに乗って移動しても、身体中に痛みが走りフィッツジェームズは叫ぶ。
彼らの心配は、それだけでなく、トゥンバックの襲撃にも注意を払わねばならないことだった。
ジョプソンは塩漬けの肉がなくなり、残りはビスケット程度しかないとクロージャーに報告する。
リトルはヴィスコンテの合図を受けて提案する。
「病人が多くてペースが落ちてます。数日ここで休み、病人をここに残し南へ狩りへ出て、獲物を得れたら戻ってはどうか」と。
ジョプソンは、「それでは残された者は皆、死んでしまう」と言うが、「一部は死んでも全滅は逃れられる」とリトル。
ヴィスコンテも、「まだ先は長い。皆、疲れ切っている」と言う。
「理にかなった考えだ。そう考えても非難できない。だが、ハッキリ言っておく。我々は従わない。残すとしてもそれは人じゃなく物だ。けして誰も置き去りにはしない。キミたちの誰1人見捨てない」
クロージャーはハッキリ指針を見せた。
フィッツジェームズの死
死を前にしてフィッツジェームズは、「私の身体を使ってくれ。食料にしろ。神のご意思だ。キミは生きるんだ」とクロージャーに言い、楽にしてくれと頼んだ。
彼の給仕だったブリジェンスは、「お仕えできて光栄でした」と涙し、毒薬をクロジャーに託した。
クロージャーは、それをジェームズに飲ませ、最期を看取った。
翌朝、クロージャーは、「遺体を埋めて隠せ。発見されて荒らされたくない」と指示した。
ブランキーの決断とクロージャー
偵察係から、1キロ半ほど西にトゥンバックがいたと報告を受けたクロージャーは、トゥンバックの襲来に備えなければならなかった。
病人を抱えるパーティーにとって厳しい状況だ。
ブランキーは、「良い方法がある。私がおとりになって氷原に連れ戻す」と言い出す。
「やめてくれ。キミまで失いたくない」
反対するクロージャーにブランキーは義足の足を見せる。
ブランキーの切断足は壊死していた。
「神よ、どうしてなんだ」
その状況を見て、ブランキーを助けることができないと悟ったクロージャーは過酷過ぎる運命を呪う。
「この先俺がどうなるかわかるだろう。親友なら認めてくれ」ブランキーは言う。
沈黙のあとクロジャーは、「何か要るか?」と。
「たばこがあればいい。あと、皆のフォークを4,50本ほどとロープを」とブランキー。
ブランキーは最後までジョークを言って笑わせ、大笑いする。
クロージャーはブランキーと抱き合って最後の別れを交わした。
死にゆくもの、見送るもの
ヘンリー・ペグラーが倒れた。
彼を可愛がるブリジェンスは走り寄るが、ヘンリーは「眠って良い?」と聞く。
もう命は尽きかけていた。
ヘンリーが亡くなった。
ブリジェンスは、ヘンリーが書き続けてきた詩集を持ち、ひとりグループを離れ、埋葬されたヘンリーの横に横たわり自ら死を選んだ。
ジョプソンも最期の時を迎えていた。
クロージャーは彼の身体を拭いてやりながら、下らない笑い話しを聞かせる。
反乱グループ
ホジソン海尉
トゥンバックから逃げ、隊とはぐれてしまったホジソンは、仲間を見つけて駆け寄るが、それはヒッキーの反乱グループだった。
食べ物があると言われ、ブーツを食べるほど空腹のホジソンには選択肢はなかった。
ヒッキーのグループに加わったホジソン。そこには、グッドサーもいた。
ギブソンの最期
ギブソンは、膝が酷く痛むとグッドサーの診察を受ける。
「身体中の関節が痛くなる。もう治らない」とグッドサーは伝えた。
様子を見に来たヒッキーから、明日ギブソンは、ソリを引くことはできるか?と聞かれ、グッドサーはムリだと言うが、「できる。できる」とギブソン。
そんなギブソンを励ますヒッキー。
しかしヒッキーは突然ナイフを持って戻って来たかと思うと、なんの躊躇もなくギブソンを後ろから刺し殺した。
ヒッキーの要求
「このために連れて来たんだ」
ヒッキーは殺したギブソンを食べるために捌いてくれとグッドサーに要求する。
「キミは彼を殺した。食べるなら自分でさばけ。私に頼むな」
グッドサーは断固として拒否するが、それならホジソンの身体を順番に切り刻むと脅しはじめる。
そしてヒッキーは、「忠告してやる。己の倫理観に囚われず、現実をみろ。生きたいだろ。1時間やる」と言うのだった。<
カニバリズム
覚悟を決めたグッドサーがギブソンを解剖するために服を脱がせた時、首からかかっていた指輪を見つける。
その指輪は、ヤングが亡くなるとき、妹に渡して欲しいと言っていたヤングの指輪だった。
グッドサー以外の隊員は、ギブソンの肉を食べた。
ただひたすら、黙って。
しかしグッドサーはテントから出てくることはなかった。
その夜、グッドサーのテントにやって来たホジソン。
返事をしないグッドサーの背中に、子どもの頃の話をした。
「もっと勇敢ならヒッキーを殺しただろう。だが、私は空腹だし死にたくない」と涙をこぼしながら言う。
グッドサーはそれを黙って聞いていた。
トウザーの告白
クロージャーの野営と自分たちの野営の間にいるトゥンバックを確認したトウザーは、「アレはどちらかを襲うつもりだ。船に戻ろう。まだ1/4も来てない。解氷の兆しが見えてきた。今、戻ればテラーに乗って海に出れる。この場所と化け物から逃げよう」と言い出す。
「狙撃手なのに化け物が怖いのか?」とヒッキーは言うが、「アレには勝てない」と。
「魂はあると思うか?俺はコリンズの魂を見た」
トウザーは震え、涙を流しながら、トゥンバックがコリンズ士官を襲い、食い殺し、コリンズの魂を吸い込み、飲み込んだのを見たと言う。
「アレが連中を追ってる間に、俺たちは船に戻って移動しよう」トウザーは説得するが、「計画の練り直しだ。内通者に合図を送ってくれ」とヒッキーは言い出す。
しかし船に戻りたがっているのはトウザーだけじゃなかった。
「第2の反乱は要らない」トウザーはそう言って皆を抑える。
イヌイットの娘
「人数が多すぎる。あの男たちのせいで、恵みが何もない。動物は逃げ、私たちは飢えている。もうひとりシャーマンを呼ぶ。そのものがトゥンバックを見つけて過ちを癒やしてくれる。お前も手を貸せ。トゥンバックはまだお前のだ。お前の命となった。避けられない」
イヌイットの長は娘にそう言う。
北西航路
クロージャーの隊から離れ、ひとり西へ向かったブランキーは、氷原に達した。
ブランキーは望遠鏡で向かいの陸地を確認すると地図を広げ、そこが悲願だった北西航路だと確信する。
ブランキーは自分の地図に、「北西航路」と記し、大声をあげ、パイプで一服した。
しばらくしてブランキーの背後から猛獣の呻き声が聞こえた。
身体中にフォークをつけたブランキーは、「遅かったじゃないか」そう言って振り返った・・
だまし討ち
「氷が割れているのを望遠鏡で見ました。ボートの幅ぐらいありました」
偵察隊がクロージャーとリトルの報告すると、クロージャーは今すぐ確認に行こうと言う。
しかしそれはヒッキーの罠だった。
反乱グループの隊員が、クロージャーたちに向かって銃を構える。
リトルやハートネルも彼らに銃を向けるが、「撃ちあう必要はない。隊長を連れて来いと言われている」と反乱側。
そこにはホジソンの姿もあった。
「銃を下ろせ。我々は発砲しない。発砲するな」クロージャーもそう言い、皆が構えを解こうとした時、ハートネルが撃たれ死んでしまう。
「キミに従おう。他の者は行かせてくれ」クロージャーは、反乱グループに従う姿勢を見せる。
クロージャーはリトルの銃を手で下ろし、「計画どおり南へ進め。私を待つな。隊員を率いるのはキミだ。キミたちは生き抜くんだ」と命を下した。
「承知致しました。生き抜きます」リトルは指示に従った。
今回、涙してしまうシーンがいくつか・・・
フィッツジェームズと彼の給仕だったブリジェンスとの別れ。
そして、クロージャーとブランキーの別れ。
ブランキーの豪快な笑い声に、ほんとに涙が出ました。
史実ではないでしょうが、ブランキーが念願の ”北西航路”を発見し、地図に書き込むシーンには感動しました。
ジョプソンを見送るクロージャーのシーンもたまらなかった。
ジョプソンの献身的な看護でアルコール中毒症状から立ち直ったクロージャー。
今の彼がいるのは、ジョプソンのおかげですもんね。
たくさんの仲間が9話では亡くなりました。
どんどん減る隊員の数、今や、両方を足しても30人いないかも知れません。
ヒッキーがクロージャーを呼んだ目的は何だったんでしょうか?
次が最終話です。
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