# 3 あらすじ
故郷べバンバーグを奪還する機会を得たウートレッドは、修道院から息子ウートレッドを連れ出すと、息子の助けで砦に侵入するが、エルフリックの息子ウィットガーに計画を阻まれ、べバンバーグの真の領主は自分だと主張するウィットガーと対峙することに。
一方、ヘステンのニセ情報を信じたエセルレッドは、イーストアングリアの領土を手に入れるために出兵、無防備となったイーグリスバーグ(マーシア)はクヌート軍の襲撃を受け壊滅的状態に。母エルスウィズと姉エセルフリーダは、同盟国マーシアのために戦うべきだと言うが、「その判断を下すのは私だ」と言い、行軍しようとしないエドワード王。
相関図
まとめ
べバンバーグ(現バンボロー) ノーサンブリア王国
このエピソードの続き
父エルフリックの左目を射抜き殺したウィットガーは、「べバンバーグの真の領主はオレだ」と主張するが、「お前の親父が子どもの頃、オレからこの領土を奪った。真の領主と呼ばれたいなら、オレと決闘だ」とウートレッド。だがウィットガーは、「戦いなど不要」とウートレッドにボーガンを向ける。
べオッカは、「この憎悪はあなたの父エルフリックが生んだもの、だからあなたが解決するべきだ。和平を結び、従兄弟同士で結束し、共通の敵、スコットランド人を倒し、子どもたちのために領土を守るのです」と呼びかけるが、ウィットガーは、「交渉の余地などない。我が領土を奪わんとする敵を生かしておくものか。だがまずお前は息子の死を見届けろ」と息子ウートレッドに向け、矢を放つ。
「止めろ!」とウートレッドが絶叫する中、矢はべオッカの胸を貫いた。
(べオッカは息子ウートレッドを庇ったのだ)
腹心の友(べオッカ)を殺され怒りのあまりべバンバーグの兵士に斬りかかるウートレッド。
それを起点に戦いが始まってしまうー・・・。
フィナンたちは仲間に船に戻るよう指示するが、冷静さを失ったウートレッドは戦いを止めようとしない。
フィナンは怒りで正常な判断ができないウートレッドを力づくで退却させる。
ウィットガーが投石で船を破壊しようとする中、なんとかべバンバーグを脱出したウートレッドたち。
ウィットガーは、「嵐で船は大破する」と深追いしなかったー。
べオッカを失って
命からがらべバンバーグから逃げたウートレッドたち。
べオッカを失ったウートレッドは気力を失っていた。
フィナンは、「従者は皆、疲労困憊、空腹だ。移動しなければ」と言うが、「べオッカの遺体を取り返し、テューラの横で眠らせてやりたい」と言い出すウートレッド。
フィナンは、「それは得策じゃない」と言うが、「べオッカだけは変わらずいつも側にいてくれた。オレは拠り所を失った。べオッカはオレが殺したも同然だ」と後悔に苛まれるウートレッド。
フィナンはウートレッドに代わり、指輪や腕輪など銀製品を売り、従者に食事や武器を調達するよう命じる。
確執
べオッカのために神に祈りを捧げる息子に、哀しみのあまり、「そんな祈りが何になる?」と怒りをぶつけてしまうウートレッド。
息子ウートレッドは、「もうボクは必要ない。教会に戻りたい」と言うが、「ウートレッドはお前を守れなかったことがツライんだ」とフィナン。しかし息子ウートレッドは、「父じゃない。親らしいことをしていない」と言い出す。
その言葉にフィナンは、「カレは己を捨て何度も命がけでキリスト王アルフレッドのために戦った。お前はカレの功績じゃなく欠点ばかりを見てる。べバンバーグ奪還はお前のためだ。自分のためじゃない。神に誓う。ウートレッドは偉大な男だ。その血がお前にも流れてる。誇りを持ってついていけ」と意見する。
フィナン
とうとうウートレッドは、「もう戦わない。故郷に戻るのが運命だと思っていたが違った。領地も名も失った。オレの元を離れたいヤツは行かせてやれ」と言い出す。
フィナンは、べオッカの亡骸の代わりに十字架を埋めるウートレッドに、「べオッカはキミが絶望することを望んでない」と言うが、「べオッカは恩人だ。幼い頃から何度も助けてくれた。父のようだった。なのに墓も建ててやれない」と涙するウートレッド。
フィナンはウートレッドをハグすると、「べオッカが生きていれば諦めるなと言うはずだ。兵を増やし、率いて城門を破ろう」と励まし、ウートレッドは頷く。
思わぬ事態と幸運
べオッカを失った哀しみからようやく立ち上がったウートレッドは、南へ向かうが、その途中、ヘステン軍と鉢合わせする。
ヘステンから、「戦う気はない。食事を分け与える」と言われ、野営に加わったウートレッドは、【クヌート軍がマーシアを襲撃、町は壊滅状態】と知る。
ヘステンはウートレッドに酒を振る舞うが、その席でエセルフリーダを侮辱しはじめる。
怒ったウートレッドはヘステンに斬りかかるが、不利と見たヘステンは、「ラグナルを殺ったヤツの名前を教える」と命乞いし、エゼルウォルドを裏で操ったのはクヌートだと暴露すると、クヌートの息子ふたりを引き渡し、立ち去る。
息子ウートレッドの想い
クヌート軍を倒すため立ち上がった父ウートレッドに息子は、「父上がフィアンハムの戦いの出発する日のことを覚えている」と言い出すー・・
息子ウートレッドは、母ギゼラから父ウートレッドが戦地に向かったのは大義のためでも、神やサクソン人やデーン人のためじゃない。愛する人々を守るためだと教えてくれたと言い、「だからあなたは皆に慕われ、従者もついていくんですね。ボクも同じ気持ちです」と父を認め、尊敬し、共に戦うと言う気持ちを表明する。
血染めの髪シグードがウェセックスを襲撃した時、好条件で戦えるフィアンハムの丘で返り討ち、勝ったアルフレッド王の戦いのこと
リナ(キングズ・リン) イーストアングリア王国 ①
タームワースィングで野営を張るクヌート軍が、マーシアの村を次々と襲撃、焼き払い、占拠する中、リナで野営を張るエセルレッドの元に、デーン人から奪った剣を捧げ、「リンドキルンも陥落させた。ウェセックスの領地を上回った」と報告するエルドウルフ。
その活躍に褒美をやると言われたエルドウルフは、「一族の汚名を返上していただきたい」と要求。エセルレッドは、イーストアングリア全土を征服したら考えようと条件付きで約束する。
ウィンチェスター ウェセックス王国
現状とエドワード王の決断
ピヤリグ神父から以下が報告された。
●エセルレッドは、クヌートの不在(ニセ情報)に領土を広げようと企み、イーストアングリアを襲撃中
●マーシアはクヌート軍に襲撃され、エドワード王の援軍を待ち望んでいる
ウェセックス軍をおびき出すことがクヌートの目的だろうと推測、「”タームワースィング”で対峙すれば我々は負ける」と出兵を渋るエドワードにピヤリグ神父は、「出兵しなければマーシアが火の海になる」と意見するが、「この状況はエセルレッドの責任だ」とエセルヘルム。
そこへ、「いつ出兵するのですか。民が苦しんでいる。マーシアはこれまで何度もウェセックスに援軍を出してきた」とエルスウィズ、エセルフリーダ、アルドヘルムがエドワードに決断を迫る。
だがエドワードは、「マーシア人を助けるためにウェセックス兵士に命を賭けろと言えない」と出兵を拒否する。
息子の決断に母エルスウィズは、「父王はウェセックス王であり、キリスト教徒のために尽力された」と言うが、エドワードは、「父はこの世にいない」と言うと、エセルレッドに現状を知らせる使者を送り、両軍が揃ったらクヌートを倒すと言う。
その決断にエセルフリーダは、「エセルレッドが戻る頃にはマーシアはもうなくなってる。それで良いのか?」と迫るが、「そうだ。異を唱えるな」と決断を変えようともしないエドワード。
行動を起こすエセルフリーダ
同盟国マーシアを助ける気がないエドワードにエセルフリーダは、「私はマーシアの王妃、イーグリスバーグで民兵を召集する」と決断するが、「挙兵すれば王命に背いたことになる。それにデーン人と戦えばあなたは殺されるか、捕虜にされる」と心配する母エルスウィズ。
それでも、「私がやるしかない」と言う娘の決意に、「どこで挙兵するかが大事になる。テテンホールの谷ならデーン人の勝率も下がる。そこで戦うように仕向けるのよ」とアドバイスするが、「民兵だけでは勝てない。エドワードの支援がいる」とエセルフリーダ。
エルスウィズは、エセルフリーダがウィンチェスターを発ったあと、エドワードを説得すると言う。
王命に背いた母と姉
その夜改めてエルスウィズはマーシア人を助けるべきだと進言するが、「時機を待っている。見捨てたワケではない」とエドワード。
すると、「エセルフリーダ様はどこへ行かれたのですか?」と問いただしはじめるエセルヘルム。
仕方なくエルスウィズは、「娘も私もマーシア人。民が虐殺されているのを放っておけなかった」と告白するが、「母と姉は王命に逆らった!クヌートと戦うのは万全の準備をして勝てる時だと言ったはずだ。エセルフリーダを呼び戻せ、王への忠誠心を示させろ」と怒りを顕にするエドワード。だがエルスウィズは、「見当違いの計画に忠誠など誓えない。エセルフリーダはテタンホールで挙兵する。あなたも加勢して」と言い切る。
苛立つエドワードとエセルヘルムの進言
姉が挙兵すると知り、援軍を出さざるを得なくなったエドワードにエセルヘルムは、「エセルレッドをマーシアに呼び戻し、エセルフリーダと共に戦わせれば良いのです。この戦いでエセルレッドを排除できる。カレが死んだあと、あなたがクヌートを倒し、国を統一、アルフレッド王の夢を実現するのです」とエセルヘルム。
「マーシアだけじゃなく姉まで犠牲にするのか」と言うエドワードにエセルヘルムは、「姉上は自らその道を選んだのです」と言う。
エルスウィズの作戦
エセルヘルムの言いなりの息子エドワードの未来が危ういと考えたエルスウィズは、「王に逆らえば私は絞首刑だ」と言うピヤリグ神父に、「ウェセックスを守るため。ムリは承知の上。ウェールズのハウェル王への伝言を届け、エセルフリーダのために援軍を出さねば」と無理やり責務を任せる。
リナ(キングズ・リン) イーストアングリア王国 ②
野営地にやって来たエドワード王の伝令から、クヌート軍がマーシア王国を襲撃、屋敷は奪われ、都は壊滅状態と聞き、ヘステンに騙されたと知ったエルドウルフは、自分の失態を隠蔽するため伝令を殺害する。
兄から真実を聞かされたイーディは、「エセルレッドが王でなくなれば結婚する意味などない。真実を話して国を守るよう進言するべき」と言うが、「そんなことをすればオレが殺される」とエルドウルフ。
イーディーは、「私がダメージを和らげる」と言うと、エセルレッドからの贈り物(ドレス)を身に着け、身を任せるが、エセルレッドはイーディを乱暴に抱く。
ヘステンから、【クヌートは従兄弟を援護するためアイルランドに向かった】との情報を買ったエルドウルフ。それを信じたエセルレッドは、クヌートの留守に領土を奪おうとイーストアングリアを攻め入った
イーグリスバーグ(現アリスバーリー)マーシア王国
イーグリスバーグへ戻ってきたエセルフリーダは、死体が転がり、吊るされた民たちのあまり惨状に言葉を失う。
その夜、イーグリスバーグにウートレッドが従者を連れてやって来た。
ウートレッドはクヌートの息子ふたりを引き渡すとクヌートとの交渉に利用するよう言うが、「マーシア兵はエセルレッドとイーストアングリアへ行軍したまま戻るあてがない。だから民兵を募り、テテンホールでエドワード軍と合流する」とエセルフリーダ。
ウートレッドは夜明にイーストアングリアを発ち、テテンホールへ向かうことに。
感想
べオッカが旅立ってしまいました。
幼いときから父のようにウートレッドを見守り、導いてきたべオッカ。
心から尊敬し、信頼できる唯一の存在を失い、ウートレッドの哀しみは計り知れませんね。
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