”あの人”が何者であるか、はっきりとわかります
# 6 一揆 あらすじ
前話から3年後、1952年。供花村の村人が山の中で惨殺された。生き残った村人は、襲って来たのは銀だったと証言、銀の捜索がはじまるが・・。
相関図
まとめ
1952年
森の中で(3年後)
今年も厳しい冬で食糧は底をついていた。食べ物を求めて山へと入った重と昭八は、子どもを発見する。昭八は、「坊主、なんでこんな山奥におるんや」と声をかけるが、振り返った男の子は人間の指を食べていた!と、その時、木の上から女が飛んできて、カマで昭八を惨殺してしまう。
来乃神神社では、神主吉宗と正宗が炊き出しをし、飢える村人を助けていた。そこへケガを負いながら半狂乱で戻ってきた重は、「山で昭八が襲われた。襲ったんは銀じゃ、間違いない」と言い出す。
「あの女を来乃神に捧げて終いやないんか。一生懸命生きとるだけやのに、どうなってるんや、この村は呪われてるんか」と嘆く重の言葉に村人は、この飢饉は銀のせいだと言い出し、山を狩って銀を捜すと言い出す。
飢饉に苦しむ供花村
厳冬と飢饉はすべて銀のせいと考えた村人は、「銀を見つけ殺すんだ」と取り憑かれたように銀の捜索をはじめたが、どれだけ捜しても見つからなかった。
吉宗は、「もう警察に任せよう」と言うが、「村のことに口出しせんでくれ」と納得しない村人たち。
しかし食糧が底を尽いた村では、次々と死人が出ていた。そしてとうとう秋子の赤ん坊(春子)までが亡くなってしまう。この状況に善治は、「食うもんだけじゃない、カネもたくさん貯めてる連中がおる」と言い出す。
後藤家のことだった。子を亡くした秋子は、「後藤から全部奪ったる」と言い出す。
後藤金次
吉宗の説得
吉宗は後藤家を訪ね、「村人は飢えて死にかけとる。恩を売るなら今じゃ」と言うが、「おのれらで何とかせい。”カシハベ”一族を忘れてないやろ」と金次。
やがて人を食ったカシハベの間で狂い病が流行り出す。人食いの事実を知った供花村の人々はカシハベを村から追い出そうとしたが、その時、カシハベを唯一庇ったのが後藤家だった。だが庇ったせいで後藤家も差別され、田畑を取り上げられ、荒地へと追いやられた。それは何代も何代も続いたが、吉宗が後藤の敷地に上質なヒノキがあるのを見つけ、政府と橋渡しをし、林業によって後藤家は潤ったのだった。
金次は、「この村は根っこから腐っとる。面白いんは銀を来乃神に捧げたのにずっと米が獲れないことじゃ。食うもんがないなら人間を食うたらええじゃろ」と言い放つ。
すると吉宗は、「銀を捜すんはやめろ。銀は村人を何人も殺してしもた。このままじゃ村と後藤で殺し合いになるぞ」と忠告するが、「なんでワシが銀を捜すと思うんじゃ」と金次。吉宗は、「お前は銀に惚れとる」と言う。
銀の捜索
実際、金次は親族を動かして銀の捜索をしていた。
だがどれだけ捜しても見つからない銀に、後藤勝吉は、「金次さん、もうムリじゃて銀はもう亡くなってる」と説得するが、苛立った金次は勝吉を殴りつけ、「銀はワシのもんじゃ、土地も食い物も米一粒たりとも誰にも渡さんぞ」と怒鳴り散らす。
正宗と銀
正宗はひとり銀を捜し続けていた。
いつも銀を逢引していた来乃神の御神体(祭壇)で、銀を思う正宗。
そこへ、「久しぶりやな、正宗」と銀が子どもを連れて現れた。
「ずっと会いたかった。銀さん、きれいや。その子が”白銀”か?ボクの子じゃろ」と言う正宗に銀は、「あんたに頼みがある」と言い出すー。
一揆
正宗の反抗
諸悪の根源は後藤家と考えた村人は後藤家襲撃を決断するが、「今、奪い合えば村は崩壊する。耐えるしかない。辛抱の時や。ワシは金次の性格をよくわかっとる。ワシらが追い込まれて追い込まれて頭を下げたらアイツは妥協案を出す」と吉宗。
だが、「ガマンガマンってそうやっていつも問題を先送りにしてるだけや。あっちじゃ金次と組んで見せ、こっちじゃ村人にえぇ顔を見せる。あんた結果的に誰かひとりでも救ったことあったんか?」と正宗。
吉宗は、「何を言うとるんじゃ、ワシが一番この村のことをわかっとる」と言い返すが、「銀さんを神に捧げる言うたんも父さんじゃ。あんた、逃げとるだけじゃ、村人の顔を見て、自分は正しいと言えるんか!」と正宗。
すると村人からも、「そうじゃ、あんたが決めきらんから状況が悪くなるばかりなんじゃ」「坊っちゃんの言うとおりや」と声があがる。
それでも吉宗は、「殺し合いになるんやぞ!自分らも死ぬんやぞ。生きるためには今はガマンするしかない。今ならまだ引き返せる」と村人を説得するが、「もう遅いわ」と正宗。
実は正宗は村人に頼み、金次の妹、後藤紅(くれない)を人質にしていたのだ。
この事実に吉宗は、「自分で何をやってるんかわかっとるんか?これでほんまに後藤と戦争になるぞ」と言うが、正宗は、「戦争じゃ、皆、戦うんじゃ!」と村人を鼓舞すると、「父さんの役目はもう終わりじゃ。今日からボクの時代や」と言い、「もう逃げんぞ、生きるために奪いとるんじゃ、行くぞ」と村人の先頭に立ち、後藤家へと向かう。
正宗の行動は、銀の頼みによるものだった。
●吉宗を追い出して正宗が神主の座に就くこと
●村人の心を掴み、一丸となって後藤と戦い、滅ぼすこと
後藤家
村人が武器を持って襲撃してくるとの報告に、「迎え撃つ」と言うが、「待ってくれ、村人はかなりの数じゃ。それに紅が人質にされとる。落とし所を見つけるべきや」と勝吉。だが金次は、「ワシに引けと言うか」と怒り、勝吉を殴り殺すと、「どっちが生き残るかの戦いじゃ、覚悟しろ!」と金次。
対峙
後藤家の前に集まった村人を前に米1俵と少しの食材を出し、「妹さんを離して帰れ」と後藤家。
飢えに飢えた村人はその食糧に近寄り、よろこび、「ワシらの勝ちじゃ」と言い出すが、「これで手打ちか?こんなもんで済ましてええんか」と正宗。そのとき、村人が頭を銃撃され死んでしまう。金次も驚く。
仲間を銃撃された村人は一斉に人質の後藤紅を竹槍で突き殺しはじめるー・・金次は村人を銃撃するが、村人は、「みんな戦うんじゃ、行くぞ!」と言う正宗の号令で、大声をあげ、後藤家に突進する。
正宗は、「金次じゃ、金次を狙え!」と叫び、「勝たんと皆、無駄死にじゃ。子どもたちに飯を食わしてやるんやろ」と村人を鼓舞する。
金次は襲い来る村人に銃や刀で立ち向かうが、後藤の親族のほとんどが殺されてしまった。
正宗は金次を追い詰め、「もう観念せぇ」と言うが、「最後のひとりになるまで殺し合う」と金次。その時、後藤家だけじゃなく、村人までが次々と銃撃されていく・・・
静まり返る屋敷に現れたのは、カシハベの集団だった。
「男には死んで食糧になってもらう。女には種を植えるんじゃ、植えた種が育つ時、後藤家と呼ばれとるんはワシらの子じゃ」とカシハベの頭。そこには銀の姿も。
銀とカシハベの取引
村人により森の中に捨てられた後藤銀は、大木に縛られていたが、そこへ歌いながら男の集団がやって来た。銀は彼らが人間を食う”カシハベ”とわかると、「村に復讐したくないか。あのクズどもは村で温々と暮らしているで。ウチと組まんか」と股を広げた。
金次の最期
カシハベに拘束された金次は、「すべておめぇの仕業か。えぇ女じゃ。渡すわけいかんの、銀もこの家も」と言うが、銀は、「まだ言うか、アホが。死ね!」と言うと心臓にカマを突き刺す。
金次は生き絶え絶えの中、「・・・ありゃワシの子か?」と白銀を見て言うが、「さぁ、後藤の子か神社の子か、カシハベの子か。どうでもええ。あれは供花村の欲望が作った子でウチだけのもんじゃ」と銀。
金次は、「ワシの負けじゃ、だがお前とのつながりは終わらん。愛しとるぞ銀」と言い絶命する。
だが銀は、「お前はワシらの中で生き続ける、お前は肉じゃ」と言うのだった。
銀の君臨
翌朝、来乃神神社の境内に戻ってきた正宗を村人は迎えるが、その後ろには、”カシハベ”と銀が。
恐れおののく村人に銀は、「貴様らが忌み嫌う後藤金次は死んだ。オレがこの手で殺したった。今日からオレらが新しい後藤家だ。金次の後藤とはもう違う。新しい後藤と供花村の関係を作る。オレと来乃神神社の新たな神主が一緒になって作る」と宣言。正宗も、「今日から供花村は変わったんじゃ。ボクらはこれで救われるんじゃ」と言うが、村人は受け入れる様子を見せない。だが銀は、米俵を見せながら、「今、貴様らを救えるんは来乃神なんかじゃねぇ。このオレじゃ。救われたくば捧げよ!大昔の奉納祭がそうだったように、人形じゃなくて人間をこの新たな神に捧げよ。そうすればもう飢えずに済むぞ」と息子の白銀を見せる。
吉宗は、「バカバカしい。人間を捧げよ?ありえん、そんな話し誰が聞く」と言うが、振り向けば、村人たちは皆、銀に頭を垂れ崇めていた。
「貴様らが大事にして来た祭りは、今日より本来あるべき姿に戻った。それ以外で後藤家に関わるな。それが供花村の掟じゃ」と言う。
後藤の本家は一掃され、”カシハベ”が後藤となった。
息子”白銀(しろがね)”
だが白銀は人しか食べず、狂い病に罹ってしまう。正宗は、長く生きれないだろうと言うが、銀は、「700年前、かつてひとりだけ狂い病でも生き残った人がおったんやて。病気を克服したもんは、六尺半を超える巨体となり、狂気と曖昧さを繰り返す。暴れる姿はまさに神そのもので、人々は恐れ、その男を”現人(あらひと)”と呼んだんやって」と言うと、白銀がそうなると予言する。
大悟と恵介
「・・・それからずっとボクと銀さんは密かに御神体の間で白銀の世話を続けとりました。”あの人”は、祭りの儀式が始まるまで、いつもジィーとあそこで待っとるんですわ・・・」と言う正宗の話しを遮り、「ましろはそこにいるんだな」と言うと銃を持ち立ち上がった大悟は、「さっきから話しを聞いたけど、さっぱり意味がわかんねぇ。お前らいつまでこんなこと続けるつもりなんだ」と言うと部屋を出て行く。
恵介は、「待てぇ駐在」と追いかけるが、「来るな!お前のことは信用できねぇ」と大悟。だが恵介は、「これはワシがやらないといけん事なんじゃ。誰にも死んで欲しくないちゅうのは甘すぎた。ワシがやる。”あの人”を殺してこの呪いを断ち切る」と言い切る。だが大悟は、「邪魔したらお前だって殺すからな」と言うと恵介と御神体へ向かう。
県警本部の動き
「後藤家制圧のため、最重要人物の恵介、岩男、”あの人”と呼ばれ巨体の男の逮捕せよ。後藤藍の情報より、”祭壇”の地点に向けて橋を越えて供花村へ侵攻する」と言う八千代警察本部長の司令を受け、中隊長は機動隊員に、「抵抗の意思ありと判断したら、即時射撃を許可する、作戦開始」と指示し、4部隊で出動する。
供花村の橋で
有希をクルマに乗せ町の病院に向かっていた洋介は、村の道で久露恵を見つける。
「こんなところで何をしてるんや?」と言う洋介に、「洋介こそどこに行くん?」とクルマを覗き込んだ久露恵は耳から血を流している人を見て驚く。「駐在の奥さんじゃ、病院に連れて行く」と言う洋介に、「あんたほんまに後藤を裏切ったんやね。ウチと同じや。なぁ今しかない。クルマに乗せて」と久露恵。
洋介は久露恵を乗せて供花橋まで来たが、橋は看板や物で封鎖されていた。仕方なく橋の上の物を除ける洋介。
だがその時、橋の下から後藤理(サダム)が姿を現した。
久露恵は驚きクルマで身を隠すが、理(サダム)は洋介を殴りつけ、「やっぱり村から出るつもりやったか、この裏切りもんが!恵介はどこじゃ、答えろ」と痛めつけるー・・・
感想
な~んと、後藤家は後藤家の血筋じゃなかった!
5話の感想にも書いたけど、「何が血筋やねん」と言う話しがオチ。
そして、後藤銀は自分の息子白銀のために、神主の正宗の力を借りてずっと人間の肉を与え続けるために奉納祭で生贄を捧げてたと言う~。
つまりは神主の正宗もグル。
ここで気になるのは銀の最期。確か不審死でしたよね。誰が殺したんやろか。
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