今回はフィリップ殿下と母アリスのエピソード
#4 母と息子 Bubbikins あらすじ
王室のイメージアップのためにドキュメンタリー番組を撮影し、国民に王室を知ってもらおうと言い出すフィリップ。一方、ギリシャでの内戦で政権が倒れた。エリザベスはフィリップの母アリスを心配し、バッキンガムへと呼び寄せるが・・・。
相関図
まとめ
イギリス人と王室
フィリップの発言
18日間のカナダ、アメリカ視察中、フィリップは人気番組「ミート・ザ・プレス」に出演。司会者からエリザベス女王の年収が15年間値上がりしていないことについて聞かれたフィリップは、「来年は赤字になるでしょう。しかしやりくりが下手なわけではない。現在の予算は15年前の経費に基づき算出されたものです。大幅な経費削減をしたものの暮らしは大変です。ヨットも売りましたしポロもできない」と話してしまう。
たまたまアメリカに取材に来ていた記者ジョン・アームストロングによりフィリップのテレビ番組での発言がガーディアン紙の一面になった。
謁見にやって来たウィルソン首相は、「記事が出るまで王室費に対して穏健派は14名、削減を訴える強硬派は6名だったが、今や10対10。私は君主制支持派だが世界一裕福な女性の夫が貧しさを口実に納税者に昇給を求める行為は受け入れがたい」と苦言を呈す。
だがエリザベスから話しを聞いたフィリップは、「オレに任せろ。対応が必要だ。キミは正当な報酬を受けとるべきだ。僕ら全員がそうだ。そうなるまで諦めない」と言い出す。
フィリップの作戦
フィリップは愛娘アン王女を呼ぶと、「秘書官とも相談して新たな広報活動をはじめることにした。手始めにテレビで放送される画期的な”家族の記録”に出演するから協力して欲しい。子どもの頃、ギリシャを追われることになったのは国民から王室が敵視されたからだ。ボクは家も家族も失った。その二の舞いになりたくない。民衆に愛される身近な存在でありたい。ドキュメンタリー番組を作り、王族の日常を見せて国民の理解を得るのが目的だ」と言う。
BBCがバッキンガムにやって来た。フィリップは家族を集めると、「我々の日常生活に密着し、ボクらが如何に勤勉で、価値があり、税金を払うにふさわしいかを視聴者に真実を知らしめる」と言う。
フィリップと母アリス
アテネで軍事クーデターが起き、政権が倒された。
エリザベスはフィリップの母アリスをバッキンガム宮殿に迎え入れると言うが、フィリップは、「今はダメだ。ドキュメンタリーの撮影中だ。母が来たら台無しになる。母は病気で人生の多くの時間を療養所で過ごしてきたんだ。母が番組に出るのは致命的だ」と反対するが、エリザベスはアリスを迎えに行くよう命じる。
修道院では貧困にあえぐ人々に食事や薬、ベッドを提供してきたが、とうとう預金額が底をつき、閉鎖さざるを得なくなる。これまで院長の老女は私財を投げ売って来た、その修道院院長こそフィリップの母アリス妃殿下。
宮殿にやって来たアリス
エリザベスとアン王女はアリスを出迎えるが、そこにフィリップの姿はなく、母の到着を聞いても会いに行こうともしなかった。だがドキュメンタリーの撮影の合間、中庭を見たフィリップは驚愕する。修道女がフィリップの母アリス妃殿下と知りBBCが撮影していたからだ。「冗談じゃない、今すぐ取材を止めろ!」と叫ぶフィリップ。
「これは悪夢だ。誰にも見られないよう母をどこかにやらないと。大事な広報活動の真っ最中だぞ?この宮殿に母がいることですべてがふいになってしまう」と言うフィリップに、「なぜそんなに怒るの?どうしてお母様に会わないの?」とエリザベス。するとフィリップは、「お前は何もわかっていない。ボクを生みはしたがただそれだけだ」と言う。
王室ドキュメンタリーの放送
謎に包まれたロイヤルファミリーの生活が見られると話題の中、放送されたが、番組を見た記者ジョン・アームストロングは再びガーディアン紙の一面記事で王室を酷評した。
謁見でウィルソンは、「歴代のドキュメンタリー番組では類を見ない視聴率でした。酷評は一部だ。私は誰よりもTVを理解し使い方を知ってる。私が政治家でいるために必要だからです。王室はテレビには向いていない」と言うが、「狙いは私たちも普通だと知ってもらうことだった」とエリザベス。するとウィルソンは、「普通の存在ではない。それに国民は王室が普通であることを望んでいない」と言う。エリザベスは、「では私たちはどうあるべきなの?それを知りたい」と言うが、「わかりません。ただ完璧でいて欲しい。理想の存在として」とウィルソン。するとエリザベスは、「そんなことは不可能よ、神じゃない。最善の策は神秘性と儀礼を重んじること。そうすれば本当の自分を隠しておける。生きるためにやっている」と言う。
アン王女を使う次の作戦
フィリップは娘アン王女を呼ぶと、「広報どころか逆効果になった。新聞は我々を価値ある存在だとは書かず、如何に愚かでうぬぼれ屋で浪費家であるかと嘲った」と言うが、「だから私は反対した」とアン王女。するとフィリップは、「ガーディアン紙の単独の取材を受けてくれ」と言い出す。アン王女は、「一番王室を批判してる新聞社よ」と言うが、「批判的な連中から支持を得るしかない。お前にしかできない役目だ」と言う。
記者ジョンとアリス
アン王女がインタビューを受けるとの連絡でバッキンガム宮殿へとやって来たジョン。だが突然アン王女は体調不良でインタビューが中止になってしまう。このまま帰るわけにはいかないジョンは、宮殿内をタバコをふかしながら歩く老いた修道女がフィリップ殿下の母と知り、インタビューすることに。
「国民はもっとエリザベス女王のことを知りたいはず、義母のあなたの話しに興味を持つ」と言うジョンにアリスは、「長くなるけど・・・」と話し始めるー・・・・・
アリスはウィンザー城で生まれたヴィクトリア女王のひ孫。
幼い頃、生まれつき難聴だったアリスは知恵遅れと誤解され軽んじられ、統合失調症と診断され療養所に入れられた。ジクムント・フロイトから拷問のような治療(性衝動を抑えるためと子宮にX線を照射し月経を止め、ヒステリーの治療と称し電気ショック療法)を受けさせられたと言う。
アリスはその後ギリシャとデンマークの王子アンドリューと結婚、ギリシャに住み5人の子どもを生む(フィリップは一番下)が、ギリシャがトルコとの戦争に負けた。アリスの夫はギリシャ陸軍を指揮していたため、敗戦の責めを負い、亡命せざるを得なくなる。(フィリップはスコットランドのゴードンストウン校の寄宿舎へ)。その亡命はアリスの心を再び蝕んだと言う。だがアリスはそんな境遇にも関わらず慈善活動や社会奉仕活動に生涯を捧げた。
王室の聖人
ガーディアン紙に「王室の聖人」と言う見出しでアリスの記事が一面に掲載された。
記事を読んだフィリップはずっと避けてきた母の部屋を訪ねる。
アリスは、「バビキンス」とフィリップを愛称で呼ぶと笑顔を見せる。
フィリップは記事を朗読すると、「信じてなかった。母さんを主役にするべきだった」と謝るが、「謝るのは私、母親らしいことは何もできなかった。ギリシャから亡命したあと心を病み治療が必要だった」と言うが、「治療じゃない拷問だ。あなたは並外れた勇気でそれを乗り越えた」とフィリップ。アリスは、「ひとりでは耐えられなかった。どんなときにも救いがあった」と言うと、フィリップに信仰はあるかと問う。フィリップは、「信仰は眠っている」と答えるが、アリスは、「母親として我が息子に贈り物をさせて欲しい。信じられるものを見つけて。それがすべてになる」と助言すると、庭を散歩したいと言う。
エリザベスは腕を組んで庭を歩くフィリップと義母アリスを窓から見つめたー・・・
感想
原題は、「バビキンス」。フィリップの幼少期のニックネームのようです。
アリスはその数年後、バッキンガム宮殿で亡くなったそうです。
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