ニューヨーク市ウィリアムズバーグ地区のハシド派コミュニティに育ち、2009年、女性に何の決定権も与えられない同派の生活を夫もろとも捨てて、幼い息子とともにベルリンに逃亡。4年後にその体験を自伝『アンオーソドックス』として発表されました。
これまであまり明かされなかったハシド派(超正統派ユダヤ教)の世界を知ることができる非常に興味深いドラマです。
#4
モイシェはエスティと接触、ユダヤ教の教えを持ち出しコミュニティに連れ帰ろうとする。
エスティは恐怖を感じ母リアを頼るが・・・
相関図
まとめ
過去
亀裂
安息日。エスティはヤンキーと共に家族の集まりに参加するが、気分がすぐれない。
(妊娠)を疑ったエスティはヤンキーに何も告げず自宅へ帰ると、妊娠検査薬で妊娠を知る。
待望の赤ちゃんを授かり、エスティは涙を流してよろこぶが、帰宅したヤンキーは開口一番、「ボクを置いて帰ったな、母さんに”良い妻じゃない”と言われた。離婚したい。性交が成功したのはたったの1回だけだ。いつも痛がるのはキミの問題だ」と捲し立てる。
離婚を切り出され妊娠したことを言えなくなったエスティは家を飛び出す。
金曜日の日没から土曜日の日没までのこと。仕事はもちろん作業することも禁じられている。
仕事は休み、火、電気、クルマを使う行為も禁止。よって食事の用意も前日に済ませておく。
安息日は白い服を着て祈りを捧げ、金曜日の夜は家族みんなで集まり食事をし、土曜日はお祈りをし聖書を読む。
協力者
ピアノ教師ヴィヴィアンを訪ねたエスティは事の成り行きを話すが、ヴィヴィアンから、「ここはアメリカ、自分で決断できる。戒律なんて空想、エルブに電流は流れてない。ワニだらの堀もない。そう信じてるだけ」と言われ、生きたい道を選ぶ権利があるのだと諭されるが、信仰を捨てきれないエスティ。しかしエスティは母からもらったドイツに帰化するための書類を見せ、「力を貸して欲しい」と頼む。
そして自分の持っている宝石(ヤンキーからもらったピアス含む)を質屋に入れ15000ドルを手にする。
現在
エスティ
ロバートと一夜を共にしたエスティは、オーディションのためにある人物を紹介してもらう
ヤンキー
朝、ホテルに戻ってきたモイシェは、「エスティがいた。オレが言ったとおりリアのところだった。オーディションの書類がリアの家に郵送されてた」とクラブで隠し撮りした写真と、音楽院からの手紙を見せる。
ヤンキーはリアのアパートに乗り込み、「ウソをついたな、エスティはどこだ」とリアを責めるが、「エスティはほんとうにいない」と激しく抵抗され、泣き出してしまう。
「子どもを作ることができないって思って離婚してくれと言ったんだ。でもエスティは妊娠した。エスティを連れ戻さないと!ボクの子どもだ」と言うヤンキーにリアは、「エスティの意思を聞いて」と言う。
モイシェ
エスティを待ち伏せするモイシェ。そこへエスティがやって来た。
エスティはモイシェを見るなり逃げ出すが、捕まり、モイシェが準備していたクルマに乗せられてしまう。
(クルマを運転していたのはイゴール)
エスティは、「神が見てる」と必死に抵抗するが、モイシェは、「神はお前をどう思ってるかな?」と一歩も引かない。
モイシェはエスティを小さな公園に連れて行くと、「ここはホロコースト政策で収容所に送られた同胞が住んでいた場所だ、ここ(ベルリン)は子育てする場所じゃない」と言うが、「魂は常に共にある、住む場所は関係ない」とエスティ。
しかしモイシェは、技術もカネも経験も、人間関係もないベルリンでどうやって生活するんだ?もって数ヶ月だと痛いところを突かれる。それでも、「母がいる」とエスティ。だがモイシェは、「リアはお前を捨て、異教徒の女と住んでいるのに、お前を歓迎すると思うか?お前は独りだ。結局コミュニティに戻るしかなくなる。だがその時は何もかも遅いぞ。今戻らないと神の最後の審判を待つ迷い人になってしまう」と言うと、「戻らないなら自分でやれ」と銃を渡す。
母と娘
追い詰められたエスティは母リアを頼る。
泣きながら、「私を連れ戻すために追ってきた」と銃を見せるエスティにリアは、「彼らの常套手段よ、外の世界で生きれないと信じさせようとする」と言うが、「カレが正しい。妊娠してる。でもお金も教養もなく何も子どもに与えられない。母親業なんて分からない。私はあなたに捨てられた」とエスティ。するとリアは、「この15年間、はじめてマルカや義母の監視なしであなたと話せる。愛するあなたの力になる」と言うと、真実を語る。
ニューヨーク、ウィリアムバーグ
祖母が心臓発作で倒れてしまう。
果物カゴ持参で祖母の見舞いにやって来たミミ(ヤンキーの母)は、「ヤンキーがエスティを見つけた。お祖母様が倒れたことはヤンキーには話してない。息子はイカれた妻を追うのに必死だから」と言われたマルカは、「ヤンキーにも非がある」と反論するが、その後再び心臓発作を起こした祖母は亡くなってしまう。
オーディション
オーディションの朝、エスティはリアの服を借りオーディションに向かう。
リアも会場に駆けつけるが、そこモイシェがやって来た。
「彼女も赤ん坊も我々側だ」と主張するモイシェに、「娘の邪魔をしないで。私もあなたを脅せる」と銃を見せ追い払うリア。
オーディションが始まった。
ロバート、ダージアたち、そしてリアが見守る中エスティは、「ピアノではなく歌唱でテストを受けたい」と言い出す。異例だとしながらもOKをもらったエスティは、祖母が好きだった”シューベルトの音楽に寄せて”を歌う。
審査員からこの歌を選んだ理由を聞かれ、「祖母が好きな曲です。ふたりの秘密でした。私の出身地では公共の場で女性の歌唱は戒律で禁じられています」とエスティ。
経歴を聞かれ、17才まで通学していたが音楽の勉強はしていないが、この3年、祖父の物件を借りている女性から家賃代わりにピアノレッスンを受けていた。しかしこれも秘密だった。夫は知っていたが反対していたと言う。
審査員からもう1曲歌えるかと言われ、エスティが選んだのはイディシュ語の歌だった。
ヤンキーは、歌いあがるエスティの様子を会場から見ていた。
オーディションの終了後、エスティは母親をロバートたちに紹介。
ヤンキーを見て驚く。
エスティの決断
「歌えると知らなかった」と言うヤンキーにエスティは、「知らないことばかりでしょ?」と言うが、ヤンキーは、「一緒に見つけよう。キミを思って買ったんだ」とジュエリーをプレゼントする。
それは音符のネックレスだった。
ヤンキーは、「妊娠したんだろ?奇跡だ。一緒に帰って家族を作ろう」と言いキスするが、エスティはそれを避け、「あなたは離婚だと言った」と言う。
ヤンキーは、「人生最大の過ちだった。キミが不幸なのをキミのせいにしてきたけど違う。キミは何も悪くなかった。違っただけだ。ボクは変わる」と言うとハサミを持ち出しもみあげを切りはじめるー・・・
エスティが止めても両方のもみあげを切り落としたヤンキーは、「愛してくれるか」と言うが、エスティの答えは、「もう遅い」だった。
ホテルを出るエスティを見つけたモイシェは、「オレたちはまた来るぞ」と脅すが、エスティはモイシェをはね退けると、胸を張りポツダム広場を歩き、ロバートと出会ったカフェへと入る。
そこへロバートたちが笑顔でやって来くる・・・・ 完
感想
エスティがはじめて自分の意思で自分の人生を選んだ・・・それがエンディングでした。
今、原作を読みたくなっています。
このドラマは超正統派ユダヤ教の世界を描いているけれど、神についての話しじゃなく、自分がどう生きたいかを問う内容であり、それに向かって恐れず声を上げることが必要と伝えるドラマだったと思います。
超正統派ユダヤ教徒の戒律、日常は興味深かったです。
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