エリザベスの4人の子ども、チャールズ、アン、アンドリュー、エドワードの話し。
#4 お気に入り Favourites あらすじ
サッチャー首相の息子マークが出場したパリ、ダカール・ラリーレースの途中で失踪した。お気に入りの息子の行方不明に激しく動揺するサッチャーを見てエリザベスは4人の子どもたちと個別でランチし、親交を深めることに。一方、フォークランド諸島にアルゼンチンが上陸、領有権を主張。対応を迫られるサッチャー。
相関図
まとめ
母親サッチャーと首相サッチャー
お気に入りの息子
エリザベスと謁見中、サッチャーの様子がおかしくなる。心配するエリザベスにサッチャーは、「私のお気に入りのマークは特別な子なんですが、行方不明になったのです」と涙を流し始めるー。
息子マークがパリダカール・ラリーのレース中、行方不明になったのだ。
問題勃発
マーク失踪から5日、目撃情報が出てきたが、以前、居場所は不明だった。
そんな中大臣は、フォークランド諸島南ジョージア島にアルゼンチンの鉄くず業者が上陸した。彼らを退去させるために砕氷艦エンデュランスを南ジョージアへ向かわせたいと打診するが、気持ちここにあらずのサッチャー。
夫デニスは大臣に、「妻に少し時間をやってくれ」と頼む。
マークの捜索
フランスの空軍機に加え、2機のヘリ、トラック3台でサハラ砂漠を中心にマークの捜索は続くが発見されないまま。夫デニスはアルジェリアへ飛んだ。
そこへまた大臣がやって来た。
アルゼンチンが国民の保護を建前に、砕氷巡視船とミサイルを積んだコルベット艦2隻で対抗してきたと言うのだ。「外務大臣は不要な戦闘を避けるため外交で解決して欲しいと言ってる」と言うが、サッチャーは強い怒りを見せ、「不法侵入しているのはアルゼンチンよ。何もしなくて何とかなるわけがない。我が国民が遠い地で命を脅かされている。行動を起こすしかない」と言いきる。
母としてのエリザベス
エリザベスはサッチャーが躊躇なく、「私のお気に入りの子」と発言したことについて、「子どもへの愛情の差を公言する親がいる?」と批判するが、フィリップは、「ボクのお気に入りはアンだ。キミだってお気に入りがいるだろ」と言い出す。エリザベスは即答したフィリップに驚くと同時に、「私のお気に入り?誰のこと」と聞くが、フィリップは、「ウソだろ?キミは自分がわかってない」と言い、答えを言わずに去ってしまう。
子どもたちが抱える問題
エリザベスは4人の子どもたちと内密にひとりずつ会い、関係を見直すことに。
エドワード
末息子エドワードはエリザベスと会うなり、「二人きりでランチって聞いてゾッとしたよ。まさかボクの年間王室費の打ち切りじゃないよね?」と言い出す。
エリザベスから学校生活について聞かれたエドワードは、「王子じゃなければこれほどイジメられてない」と言い出す。イジメを受けていることさえ知らなかつたエリザベスは、その内容に眉をひそめるが、「憐れまないでよ、ケンブリッジの入学審査官に会った。王族が入学すれば学生が増える。利益のためにボクを入学させる」と言う。エリザベスは、「関心できることじゃない」と言うが、エドワードは、「これが現実だ。王族であるメリットだ」と言う。
アン
アンとはルータム・パークで会いランチすることにしたエリザベス。
馬を走らせ木陰でランチしながら、「田舎で馬に乗り、子どもたちと自由に暮らせて羨ましい」と言うエリザベスに、「自由じゃない。記者たちは私を目の敵にして追いかける。暑くて汚い発展途上国でチャリティーのために働いても、どの新聞もその働きは記事にしないのに、美して愛嬌のあるダイアナがドレスを着るだけで高評価。冴えない無愛想な私はマーク(夫)とのゴシップばかり」と不満を口にするが、エリザベスは王室警備部長から、アンとクロス巡査部長が親密な関係であるとの報告を受けていた。「クロスが内勤に移動になる」と言うエリザベスにアンは、「やめて。奪わないで。カレだけが幸せにしてくれる」と言うが、「耐えて」とエリザベス。するとアンは、「私は苦しんでて自暴自棄になってる。全部壊したくなる。なのに耐えろと言うだけなのね」と。
アンドリュー
バッキンガム宮殿に一基のヘリが着陸する。空軍在籍のアンドリューがヘリでやって来たのだ。
アンドリューは、「女王陛下から呼ばれたとヘリを使った。ちょうどボクも話したいことがあった」と言う。
「ボクが結婚したあとの称号について聞きたい」と言うアンドリューにエリザベスは、「彼女と結婚する気なの?」と聞くが、「有力候補だ」とアンドリュー。
空軍前線部隊にいるアンドリューから、「フォークランドは交渉では済まない状況になってる。戦闘になったらボクは必ず行く。王室は干渉しないで欲しい」と言われ、了承する。
チャールズ
新婚生活を”ハイブリーブ・ハウス”でスタートさせたチャールズとダイアナ。
現在ダイアナは妊娠中だがすでに夫婦仲は冷めており、ダイアナは体調不良を理由にエリザベスを迎えに出ることも、昼食を共にすることも拒否する。そんな妻をチャールズは、「理解できない。田舎育ちなのにここを嫌い部屋に閉じこもってばかりだ。知的好奇心がないからシェイクスピアにも詩にも興味を示さずテレビばっかり見てロンドンに帰りたいとしか言わない」と愚痴るが、エリザベスはチャールズがハイブリーブ・ハウスにこだわる理由を知っていた。クルマで15分の距離にカミラが住んでいるのだ。
そのことを指摘され、「カミラとは狩りに行き、時々電話をしているだけだ」と言い訳するが、エリザベスは、大人の男に干渉や指図はしたくないと前置きした上で、「自分の幸せより妻や生まれて来る赤ん坊の幸福、健康に気遣うべきだ」と厳しく諌めた。
母として
4人の子どもがそれぞれに問題を抱えていることを知り、母としての無力を思い知ったエリザベスは、「親の責任ね。下の二人を欲しがったのは私。長男の子育ての失敗をやり直し克服したかった。でも触れ合い方がわからない」と本音をさらけ出すが、フィリップは、「もう悩むな、キミは完璧な母親だ。彼らはもう大人だ。自分で解決できる。さしあたってキミがすべきは、健康で生き続けることだ、みんなのために」とキスする。
発見されたサッチャーの息子
アルジェリア空軍兵がマリ国境付近でマークと同乗者アンを発見、同乗者は熱中症で搬送されたがマークは元気に父デニスと帰国する。
サッチャーは帰ってきた息子を甲斐甲斐しく世話するが、マークは悪びれた様子もなく、「アンは深刻だったけど、ボクはリラックスしてた」と言い出す。その態度にキャロルは、「コースから50キロも外れてたしアンは搬送された」と言うが、「そもそも行方不明じゃない。ボクは自分の居場所は把握してた。なのに父さんにレスキュー隊に感謝がないと怒られた」と文句を言い出す。それを聞いたサッチャーは、「マークを怒るのはお門違い。彼らは仕事をしただけ。むしろ発見に1週間もかかったのはお粗末な仕事だった証拠だわ」と言い出す。
そんな母にウンザリし、「もう我慢できない」と言うキャロルに父デニスは、「母と息子の関係などあんなものだ」と言う。
緊張が走るフォークランド諸島
「アルゼンチン軍事政権はリスクを承知で島を攻撃する可能性がある」との報告を受けたサッチャーは、すぐさま外務大臣を呼ぶよう言うが、外務大臣はブリュッセル、参謀総長はニュージーランド、国防大臣はアメリカとイギリスに不在だと言う。サッチャーは、「まさに攻撃される時に?危機感はないの?24時間後までに3人を帰国させ官邸に来るよう言って」と命じる。
強行手段
「外交による解決」を求める閣僚、「軍が島に到着するには3週間かかる。その間に乗っ取られる」と発言するもの、「不景気と高い失業率、政権は民衆から嫌われ不人気なのに不要な戦争をすれば終わる」と発言するものも。だがサッチャーは、「戦わなければこの国は存続できない」と軍事介入を決める。
母と娘の確執
官邸に参謀総長を呼び軍事会議をするためサッチャーは娘キャロルに食事の準備を手伝って欲しいと言うが、不満が溜まっているキャロルは、「どうしてマークばかり可愛がるの?双子なのに。自分が母親と不仲だったその苛立ちをすべての女性に向けないで。母さんは私を軽視しすぎてる」と怒りを向けるが、「それはマークの方が強いからよ。母とは不仲だったけどそれは性別の問題じゃない。父は母を応援してたのに母は主婦でいることに満足し、何もしない弱い人だった。本人が向上心もなければ支援しても意味がない」と言いきる。
旗艦インヴィンシブルがポーツマス港へ向け出発、フォークランド諸島への軍事作戦が始まってしまった。
1982年4月~6月、イギリスとアルゼンチンとの軍事衝突(戦争)のこと。
1833年以来イギリスが占領、占有権を主張し実効支配を続けていたフォークランド諸島だが、かねてから領有権を主張していたアルゼンチンが軍隊を上陸させたことでサッチャー首相が陸海軍を派遣し奪回した戦争。
約2ヶ月半に渡る紛争の結果、600人超もの犠牲者を出したアルゼンチン軍が降服、停戦した。
感想
”鉄の女”の異名を持つサッチャーでも、息子にはメロメロだと言う事実が面白かった。
サッチャーは素晴らしいイギリスの政治家と言う印象しかなかったので興味深い。
イギリス初の女性首相でありながら、意外にも女性蔑視である理由は彼女の母親にあるのも面白い。
人間はそれだけ生まれ育った環境と言うものが大事なのかな。
王室の王子、王女であることの重圧を理解することはできないけど歪になってしまうのは仕方ないと思う。
チャールズは最初からカミラと結婚していれば・・・どんな人生、どんな王室だったんだろう。
ダイアナが気の毒。
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