開かれた王室と呼ばれるきっかけのエピソードかも
#5 マリオネット Marionettes あらすじ
「自動車工場視察でのエリザベス女王のスピーチは配慮に欠けた時代錯誤だ」との批判記事が世間を騒がす。それを書いたのは、小さな出版社、”ナショナル・イングリッシュ・レビュー”代表ジョン・オルトリナム卿。その記事のせいで女王と王室は激しい世論の逆風に晒される
相関図
まとめ
エピソードは時系列を入替えていましたが、このサイトでは内容別にレビューしています
王室秘書官
古株 vs 若手
”女王陛下ジャガー自動車工場視察”を控えマイケル・アディーンは秘書官たちとスピーチ原稿の最終チェックをするが、その席で、「庶民の皆さんより、”働く皆さん”の表現の方が敬意があるのでは?」と意見する若手秘書官。マイケルはムッとしながら、「庶民でいい」と意にも介さず却下する。
どうも納得できない若手秘書官は、スピーチ原稿を下級秘書官マーティン・チャータリスに見せる。
それを読んだマーティンはマイケルの部屋を訪ねるが、そこには退職した大先輩トミー・ラッセルズがいた。
恐縮しながらも、「ジャガー自動車工場でのスピーチ内容に納得しておられますか?スエズ危機以降変化のあった我が国において、スピーチ内容があまりにも時代遅れです。陛下が新聞や民衆の非難に晒されます」と意見するマーティン。だがマイケルは、「納得しているし、陛下にもお見せした」と言い、トミーまで、「イギリス人は君主を敬愛している。新聞の非難も心配いらない」と言い切る。「それでは無用な心配なのです」とマーティンは引き下がるより他なかった。
ジャガー自動車工場視察
自動車工場を視察後、社員たちの前でスピーチするエリザベス(実際はマイケルが考えた原稿)。
ジョン・オルトリナム卿
小さな出版社”ナショナル・イングリッシュ・レビュー”の代表オルトリナム卿は、ジャガー自動車工場での女王陛下のスピーチを聞き、「女王のバカげたスピーチを記事にする。女王は原稿がなければ何も話せないし、宮殿は時代の波に乗りそこねた」と社員のパトリシアにタイピングを手伝ってもらい記事を書き、出版する。
世間の注目
信じられないことに雑誌”ナショナル・イングリッシュ・レビュー”は飛ぶように売れ、大手新聞社が記事に。
ディリー・ヘラルドは、「女王と君主制に痛烈な批判」ディリーエクスプレスは、「貴族が女王を酷評」、ニュース・クロニクルは、「貴族が愚弄」と1面にした。
ホリールードハウス宮殿に滞在中のエリザベスとフィリップ。
新聞記事を読んだエリザベスは王太后に、「記事を読んで頷けることはあるか」と聞くが、王太后は、「報道官から国民の大部分がオルトリナムに賛成しないだけでなく腹を立てていると聞いた。無関係な男が無関係な出版物に書いた記事よ」と吐き捨てるが、エリザベスはそう思えなかった。
話題の中心、オルトリナム卿
オルトリナム卿に、ロビン・デイの「インパクト」出演依頼が入った。
「どうするべきだと思うか」と相談するオルトリナム卿に、「徹底的にこきおろされる危険がある」と反対意見が出る中、「ディの”インパクト”だからこそ出演する意味がある」とパトリシア。ハンフリィも、「冷静に対処し、自分の意見を丁寧に謙虚に知的に述べれば、人々は意見を変える」と背中を押す。
ロビン・デイの”インパクト”
社員に背中を押され、ロビン・デイのインタビューを受けることにしたオルトリナム卿。
デイは、「なぜ女王陛下を憎むのですか?なぜ王室を批判する?」と切り込むが、オルトリナム卿は、「憎んでいません。むしろイギリスの立憲君主制は偉大な発明だと思ってる。だが今、君主制が機能していない。陛下は少し自発性を持つべきです。公のスピーチはもっと自然であるべきだ。陛下のスピーチは聞き苦しいし、感情が籠もっていない。陛下の仕事は途方もなく大変です。だが宮殿に問題がある場合、結局トップである陛下が非難される。ダメな側近をクビにするべきだ。イギリスは第二次世界大戦、スエズ危機以降激変している。なのに王室だけが何事もなかったかのように同じことをしている。今や世界では君主国が例外です」と持論を伝えた。
そのインタビューを王太后、フィリップと見ていたエリザベス。
世間の反応
昨夜のインタビューで、世論は一気にオルトリナム卿の意見に傾いた。新聞各紙もオルトリナム卿の意見に賛同。首相の元にも世界の大使から心配の電話がかかるほどで、首相がこの件でエリザベスと謁見したいと言う。
この状況に思わずエリザベスは、「すべての発端はあなたの書いたスピーチ原稿よ。あなたを信じたからあれを読んだの。オルトリナム卿が言うように世間を知っている若い人材を周りにつけるべきね」と言ってしまう。
マクミラン首相との謁見
マクミランは、今やこの問題は政府も関係していると言い、「世界各国の大使が心配している。ここ数年で多くの国々で君主制が倒され共和制になりました。エジプト、ブルガリア、チュニジア、イタリア。このままではイギリスにも黄信号が灯る。早急に対処するべきです。オルトリナム卿を鎮めて欲しい」と言う。
策
下級秘書官チャータリスから会いたいと連絡を受け、迷うオルトリナムに、「会うべきよ。共に取り組みたい提案書を持って行くのよ」とパトリシア。
バッキンガム宮殿のチャータリスの秘書官室でチャータリスを待つオルトリナム。
だがそこに現れたのはエリザベスだった。
驚くオルトリナムに、「どうするべきか意見を聞かせて。何を変えるべきなの」と問う。
オルトリナムは、「私は君主制を倒したいからではなく、確実な存続を願っているのです」と前置きすると、「陛下が変えるべきことはない。認識を変えるだけでいいんです。服従の時代は終わった。今は平等の時代です。皆が意見を言える時代です」と言い、提案が6つあると言う。
止めるべきこと3つは、
1、デビュタント・ボールの廃止
2、離婚経験者に対する王室での扱いの見直し
3,ある世代の側近を全員解雇
はじめるべきこと3つは、
1,開放、多くの人々に王室を知ってもらう。
2,クリスマススピーチをテレビ中継する
3,普通の人々と交流するワーキングプレイスを作ること。
宮殿の人たちではない一般の人たちに陛下を知ってもらうのです。
エリザベスは、「マーティンを呼んできて」とオルトリナム卿に頼む。
オルトリナム卿が再びチャータリスの部屋に入ると、エリザベスはもういなかった。
マーティンはオルトリナム卿に、「エリザベスと謁見したことは内密に。キミの提案を1つか2つ採用するかもしれない」と伝えた。
テレビ放送されたエリザベスのクリスマススピーチ
1957年、女王陛下のクリスマススピーチをBBCがテレビ放送した。
セリフと目線の位置を覚え、メイクをしてカメラの前に座ったエリザベスは、国民に向けてスピーチした。
それを自宅でパトリシアと見たオルトリナム卿
6ヶ月後(1958年)
バッキンガム宮殿に一般の民衆が招待された。招待客はバスの運転手、銀行行員、ボクサー、女性警察官など。
招待客に対応するのは王太后とエリザベスだ。
王太后は、「神聖な王権や権威が大衆化する。私たちはただの操り人形よ」と嘆くが、笑顔を見せ対応する。
オルトリナム卿は称号を捨て、ジョン・グリッグ(一般人)となった。
感想
イギリス王室は開かれた王室とよく言いますよね?
そのきっかけを作った1つのエピソードなのかなと思います。
このエピソードは実際にあった話です。
そうそうフィリップがエリザベスの髪型を見て、もっとセクシーにして欲しいと例に挙げた女優は、ジェーン・マンスフィールド、リタ・ヘイワースですね。
雰囲気はマリリン・モンローみたいな感じでした。
それからエリザベスがスコットランドで滞在したのはホリールードハウス宮殿です。
エディンバラで見学できます。
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