ニューヨーク市ウィリアムズバーグ地区のハシド派コミュニティに育ち、2009年、女性に何の決定権も与えられない同派の生活を夫もろとも捨てて、幼い息子とともにベルリンに逃亡。4年後にその体験を自伝『アンオーソドックス』として発表されました。
これまであまり明かされなかったハシド派(超正統派ユダヤ教)の世界を知ることができる非常に興味深いドラマです。
#2
音楽学院で野宿したことが発覚したエスティに教授があるチャンスがあることを教えるが・・・。
一方夫ヤンキーは従兄弟のモイシェとベルリンに到着、エスティの母を訪ねる。
相関図
まとめ
エスティ
ハフェズ教授との出会い
音楽院に潜り込み一夜を明かしたエスティは、翌朝、掃除業者の女性に見つかってしまう。
対応したハフェズ教授はエスティの様子から理由ありと推測、逃げ去ろうとするがエスティを近くのカフェへと連れて行き、朝食をごちそうする。
エスティは空腹のあまりクロワッサンサンドにかぶりつくが、中身がハムだと知った途端、外へと飛び出し、木の幹に触れながら祈りの言葉を捧げた。
カフェに戻ったエスティは、「私の故郷では規則が多い」と言い訳するが、「音楽の傑作はたいていが型破りだ」と教授。その言葉に、「学費があればここで学べたのに」とエスティ。するとハフェズ教授は、音楽学院には特別プログラムがあり、申請書提出とプロの音楽家の前で演奏する必要があるが、テストを受けてはどうか?と提案。音楽を学ぶチャンスがあると知り、目を輝かせるエスティ。
冒険
洋服を買うため入店したエスティは、戒律で禁じられているジーンズを試着、新しい体験に心踊らせながら音楽学院に申請書を出しに行ったエスティだが担当者から、「審査は厳しく合格できるのは8%、期待しないように」と釘を刺される。エスティは迷った末、連絡先住所は母の自宅を記入した。
超正統派ユダヤ教徒に対する反応
ハフェズ教授から授業を見学して良いと許可をもらったエスティ。
しかし教室ではロバートたちがエスティがウィッグを被っていたことについて話題にしていた。
すると、「超正統派ユダヤ教徒よ。男はユダヤの律法だけを学び、女は出産マシン。過激でイカれた人たち」とヤエル。エスティは堪らず、「出産マシンなんかじゃない」と反論するが・・・。
ハフェズ教授は学生たちにエスティを、ニューヨークのピアニストで特別プログラムに申し込んだ生徒だと紹介した。
夕食会で
ダージアに寮の夕食会に招かれたエスティ。
そこでエスティは、ユダヤの伝統料理について話しをするが、「逃げてきたんでしょ?」とヤエルに図星をつかれてしまう。
「自分の道を捜すために何も言わずに出てきた」と言う。そんなエスティにロバートたちは、乾杯で応援を示した。
エスティはヤエルやロバートから、特別プログラムを受けるなら人前でピアノを弾く練習をしておくべきだと言われ、トライするが、そのスキルはとても音楽学院に合格できるレベルではなかった。
皆が拍手する中、「そのレベルでは合格は絶対にない。ここにいる全員、幼いときから自分の楽器を毎日練習してる。生まれつき素晴らしい才能に恵まれている人もいる」と現実を示すヤエル。
絶望
堪えきれず寮を飛び出したエスティ。
コミュニティから飛び出してきたものの、厳しい現実を知り、エスティは心のよりどころである祖母に電話、「すごく遠くにいる。私はどうすればいいの」と頼るが、祖母は何も言わず電話を切ってしまう。
エスティはただ途方に暮れ涙するー。
ヤンキーとモイシェ
超正統派ユダヤ教徒としての戒律
ベルリンに着いたヤンキーとモイシェ。
モイシェは着くなり戒律で所持禁止のスマホをビジネスのためと理由をつけ使いはじめる。スマホを触ったことがないヤンキーは、(なんでも検索できる)と思い込んでおり、モイシェからスマホを取り上げると、”Siri”に、「電話よ、エスティの居場所はどこ?」と言う始末。
ホテルにチェックインするなり祈りの儀式をするふたり。
食せる食べ物も決まっているため、ふたりは約1週間分のインスタント食品を持参していた。
エスティの母リアを訪ねる
翌朝、野球帽を取り出すと、もみあげを隠し、帽子を被ったモイシェ。ヤンキーもそれに習う。
ふたりが訪ねたのはエスティの母リアのアパートだった。
訪ねてきたのがエスティの夫ヤンキーとわかりリアはドアを開けるが、エスティを匿っていると疑われ、「ここはドイツよ、ウィリアムズバーグとは違う。娘の居場所など知らない」と追い返す。
怯えるリアを見て恋人は警察に通報するべきだと言うがリアは、「娘からの連絡を待つ」と言う。
リアに追い返されたがモイシェは、「リアはウソをついてる。彼女から真実を聴く。脅せば話すさ」と言いそれ以上探そうとしない。
ヤンキーはそんなモイシェと別れ、あてもなく街を歩くが・・・。
過去
妻となる教え
結婚を目前にエスティは妻となる心得をスペシャリストからレクチャーされる。
・性交渉は神聖なものであり、体位が決まっている。
・毎週金曜日は性交渉しなければならない。
・生理中は性交渉どころか夫とベッドを共にすることも禁止
・生理が終わったあと7日間、残血がないかを2回/日チェックし続け、ようやくベッドを共にできる。
だがエスティは、セックスの方法どころか、自分の生殖機能の構造すらわかっていなかった。
超正統派ユダヤ教徒である女性の戒律:ミクヴェ(沐浴)
超正統派ユダヤ教徒の女性は、毎月ミクヴェ(身を清める沐浴)に浸かる必要がある。
ミクヴェ施設へ行き、爪を切り、シャワーを浴び、水槽に入ると、コーシャを唱える。
結婚式
結婚式前、男女は薄いカーテンで仕切られた部屋で待つ。
男たちは歌を歌い、両家の父親のエスコートで目を閉じた新郎ヤンキーがウェディングドレス姿のエスティの前へと連れて来られると、ヤンキーは目を閉じたままエスティに白い布を被せる。
次は両家の女性たちがエスティをエスコート、ヤンキーの前へと連れて行く。
ヤンキーが指輪を渡し、儀式(グラスを靴で踏んで割る)を行うと、歓声と共に結婚が成立した。
親族や仲間が宴で盛り上がる中、「7分間だけはふたりで」と別室に入れられたエスティとヤンキー。
その席でピアスをプレゼントされたエスティは笑顔を見せるが、「母が選んだんだ」とヤンキー。
しかしヤンキーはエスティを尊重する姿勢を見せ、ふたりは良い感じになる。
結婚式の宴は永遠に続いているが、そこにも白い布で男女に仕切りが。
そんな中離婚した妻リアに近づく父に気づいたエスティは、リアを退場させる。
既婚者の儀式
既婚者となったエスティは、髪を短く切ることに。
感想
このドラマを通じて超正統派ユダヤ教の世界を知ることができるのは興味深い。
ほんとに結婚式ひとつとっても独特。夫婦の関係性についても驚くことばかり。
ニューヨークに住みながら、彼らの地域だけアメリカじゃないって感じ。
まるでウィリアムバーズだけ独立国家のよう。
調べて見たら学校も、ユダヤ教超正統派ハシド派が運営する私立男子校があるらしく、学力はアメリカの水準以下らしい。スマホも使用禁止だし、すごい世界。
安息日(金曜日の日没~土曜日の日没まで)には一切の”労働”が禁じられてる。
火を点ける行為もボタンを押す行為も禁止。だから彼らは、定時になると照明が消えるタイマー、作り置きの料理を一定温度に保つ電熱プレート、ボタンに触れなくても各階で自動開閉するエレベーターといった安息日グッズを利用しているが、スマホも絶対に触らない。
と言うか、基本的にスマホを持つことは禁止事項だけど、若者は戒律を無視して持っているらしい。
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