ザ・クラウン 4 #8 48対1(相関図)

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エリザベスとサッチャー首相がイギリス連邦の考え方で衝突するエピソード

#8 48対1

南アフリカのアパルトヘイト政策に対して各国の非難が集まるなか、経済制裁発動の是非をめぐりサッチャー首相とエリザベスが対立する。

相関図

まとめ

1985年世界情勢

アパルトヘイトが南アフリカの公的政策となり40年。
政府は反アパルトヘイト活動、民主化運動を起こしたネルソン・マンデラを投獄、終身刑を宣告。それに抗議する民衆を暴力的に鎮圧していた。
これを受け国連安全保障理事会は、南アフリカに対する経済制裁を加盟国に要請するが、サッチャー首相経済制裁を頑なに拒否。マスコミは、「首相が経済制裁を拒否していることに女王陛下は不満を持っている」との噂が流れ始める。
新聞トゥディ紙から噂の真相を求められた王室報道官マイケル・シェイは、「陛下は33年間の治世の中で一度も首相に関して意見を示したことはない。今後とも政治的中立と首相支持は女王の揺るぎない信条だ」と言い切る。

【王室報道官マイケル・シェイとは】
趣味が講じて小説を執筆、大作「イクシオンの車輪:挽歌」を書き上げたマイケルは小説をエージェントに持ち込むが、出版の声がかかることはなかった。
だが落胆するマイケルにエージェントは、「でも文章が上手く面白いことは証明できた。だからあなたしか書けない政治スリラーや宮殿の内部情報を書けば売れる」と言うが、マイケルは、「敬愛する主の情報を漏らすことができない」と拒否する。
連邦国への気持ちの相違

「南アフリカ警察の市民への暴力はエスカレートするばかり。この残虐行為を止めるには経済制裁しかない。イギリス連邦48ヶ国はアパルトヘイト撤廃を目指し経済制裁を行うことで一致したが、ただ1ヶ国、イギリスだけが反対している」と言うイギリス連邦事務総長ソニー・ランファル卿の訴えたエリザベスは近くバハマで開催される”連邦首脳会談”でサッチャーと話しすると約束する。

だがサッチャー首相はイギリス連邦などバカげた共同体であり、非道な人権侵害の歴史を持つ不安定な専制国家との関係など不要と考えていた。

【イギリス連邦(コモンウェルス・オブ・ネイションズ)とは】
イギリスは植民地から独立した56ヶ国を支配下にはおかず、対等な立場で連携している。
加盟国の多くはイギリス国王が国家元首として形式的に認めておりエリザベス女王は連邦国首長。
以下、加盟国の一部
アジア:マレーシア、シンガポール、スリランカなど
アフリカ:ガーナ、ケニア、ナミビア、ナイジェリア、ルワンダ、南アフリカ、ウガンダ、ザンビアなど
オセアニア:オーストラリア、ニュージーランド
ヨーロッパ:キプロス、マルタ

連邦首脳会談

エリザベスは連邦首脳会議で、”家族である連邦を守ることが使命”とスピーチし、「私の強い希望としてイギリスも経済制裁を発動してほしい。連邦に協力するのは君主の義務」と言うが、「制裁によって得られる成果は何一つない。むしろ経済制裁を発動すればイギリスは貿易赤字になる。イギリスに必要なのは経済再生だけ。連邦は必要ない」とサッチャー。サッチャーの考えにエリザベスは、「首相にとって連邦はムダでしかないらしいけど私は人生を賭けてる。40年前に誓った」と言うが、「ラジオ演説ですね、大学生の時に拝聴しました。過去よりも今、国の利害が絡んでいる。慎重を期すべき」とサッチャー。それでもエリザベスは、「イギリス連邦48ヶ国が南アフリカ政策を非難し、制裁を強める声明を準備している。私はあなたにもその声明にサインをして欲しい」と言うが、「そのお言葉はご命令のように聞こえます」と反論するサッチャー。

21才の誕生日を南アフリカ、ケープタウンで迎えたエリザベスは、イギリス連邦の国民に向け、「生涯連邦国のために尽くす」と誓った

その頃オックスフォード大学生だったマーガレット・ロバーツ(旧姓)はそのラジオ放送を拝聴したのだと言う。

制裁に変わる言葉

サッチャーが声明に、”制裁”と言う言葉がある限りサインはしないと宣言したため、連邦議会の首脳陣は、声明文の書き換えをすることに。だがどのワードを使っても、「ダメ」と却下し続けるサッチャー。

頭を抱える首脳陣に、「必要なのは政治家じゃなく作家ね、ツテはないの?」とエリザベス。
そこで白羽の矢が立ったのは、王室報道官マイケル・シェイだった。
練りに練ってマイケルが出したワードは、「信号」。ようやくサッチャーは声明文にサイン。
連邦事務総長ソニー・ランファル卿は、「イギリス連邦、人類、そして陛下の勝利だ」と言う。

ずる賢いサッチャー

だが会見で、「大幅に譲歩したのはどうしてか」との記者の質問に、「署名はしたが重要なのは48ヶ国にひとりが飲み込まれたのか、ひとりが48ヶ国を飲み込んだのか。”信号”には同意したが、一回しすれば信号は一瞬で移り変わり、まったく違う方向を示す」と言い切る。

エリザベスとサツチャーの亀裂

怒りの決断

再びトゥデイ紙から、「王室と首相の関係悪化の記事を一面にする」と連絡が入った。
マイケルは秘書チャータリスと共にエリザベスに状況を説明、「大手紙がこの問題に興味を持つ前に先手を打ってお気持ち(エリザベスは首相を支持、首相の仕事ぶりを褒める)を発表するのが良いのでは」と言うが、「褒めたくない。国民に不仲が真実だと知られては問題?黙っているのが君主の責務と心得ているけれど限度がある」と言い出す。マイケルは、「陛下のご移行ならば従いますが私には誤った判断だと思います。王室と政府の関係に重大な損害を与える。どうせ記事を書かせるならトゥディ紙ではなくルールをよく理解している大手紙が・・・」と意見するが、エリザベスはマイケルの言葉を遮ると、「専門のあなたに任せる」と席を立ってしまう。

マイケルはエリザベスの決断について、「これは無謀で無責任だ」と言い、マーティンも、「私も驚いている」と言うが、エリザベスの指示どおり動くしかないマイケルは、「私の専門家としての助言、女王の意見に異論があることを留意してほしい」と言い、マーティンはそれを受ける。

その後マイケルは連絡して来た大手紙”サンデー・タイムズ”の記者と会う。

新聞報道

サンデー・タイムズ紙の一面に、【非情な首相に失望する女王】の記事が掲載された。
エリザベスが明白に首相を非難した、政治に口出さないと言う王室の伝統を破った、原因は頑固で無神経な首相の態度、女王は首相と徹底抗戦の構え・・・・

エリザベス vs サッチャー

定例謁見にやって来たサッチャーは座りもせず、「陛下は決して政治的見解を公にされないと思っていた。君主と首相の間には不干渉の鉄則がある」と批判するが、「新聞報道は誤解と改ざん、捏造ばかり。人を混乱させる」とエリザベス。すると、「私の報道官はあの記事の情報源は女王に近い情報筋だと確認している」とサッチャー。

エリザベスは、「それなら詳細はそのうち明らかになる。まずは本題の仕事をしましょう」と話しを逸らすが、サッチャーは、「これこそが本題です。お互い敬意を持って話し合うべきです」と一歩も引かず、新聞を取り出すと、「”冷酷で対立的、不和を生じさせる”陛下の側近の言葉です。”私は同情心に欠け、内閣はこの国の社会機構に取り返しのつかない損害を与えた”」と新聞記事を読み上げると、「陛下の持たざる者への思いやりは尊敬するが、何もない小さな町で生まれ育ったのは私。父から称号も連邦も継いでいない。継いだのは根性、良識、熱意だけ。私の目標はこのイギリスを自立する国に変えること。概ね成果は出せている」と言いきり、現状のイギリスに連邦を気遣う余裕などないと言うが、エリザベスは、「君主として最大の困難は首相のどんな決断も支持する義務です。あなたの南アフリカへの決断ですらそうするしかない。制裁はイギリス政府には影響は少ない。でも私にはとても重要だった。一度ぐらい私を支持できなかったの?イギリス連邦が一番助けを必要としている時に裏切ることになった」と反論するが、サッチャーは、「新聞記事を読めば彼らも陛下の立場はわかるはず」と言い切る。

アンドリューの気持ちと後継ぎチャールズ

兄弟間の確執

挙式を前にアンドリューは、「ボクの結婚が新聞の一面を飾るはずだったのに母上の判断力ミスで話題は女王vs首相のことばかりだ。配慮が足りなすぎる」とスネるが、チャールズは、「母上は自分の意見を主張してコテンパにやられてるが、お前の記事が載らないのは絶対に王にはなれない王族の結婚だからだ。お前はボクに子孫ができれば継承順位は下がりその他大勢になるだけだ」と言う。
そのセリフにアン、アンドリュー、エドワードは言葉さえ失う。

アンドリューは兄チャールズは不安定で嫉妬深いと批判する一方で、決して国王になれないことに劣等感を持っており、「自分の方が跡継ぎに向いている」と思っている。

1986年7月。アンドリュー王子とセーラ・ファーガソンがウェストミンスター寺院で挙式。

対処

王室報道室にかかってくる電話にマイケルはすべて、「王室と首相との関係は良好だ」と返答するが、マスコミ各社は、「体裁は必要ない。王室から出た情報だとわかってる」と言い、まったく火消しにならない。

王室と首相の不仲説をどれだけ否定し続けても事態の好転はないと判断したチャータリスは、”犯人を差し出すしかない”と決断。マイケルに、「キミの行動は職業倫理に反している。王室と陛下の名に傷がついた。キミならどうするべきかわかるだろう」と求める。その言葉が何を意味しているのかを理解したマイケルは辞職する。

その後

王室は現在でもエリザベス女王が政治に意見したことはないと主張している。
またマイケル・シェイは辞職後”政治スリラー”のベストセラー作家となった。
アパルトヘイトは1994年に消滅、マンデラが初の黒人大統領に。
マンデラは、「経済制裁はアパルトヘイト撤廃に効果があったか?」と聞かれた際、「間違いない」と答えている。

 

感想

エリザベス女王とサッチャー首相の不仲説が新聞紙上を賑わせたのも、王室報道官マイケル・シェイが辞任したのもすべて真実だそうです。
このドラマで私のサッチャーへのイメージが変わるわー。
女の上司ほどやりにくいものはないの典型だもん。
メリル・ストリープが演じた映画「マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙」を見て検証したほうがいいかも。

それよりもマイケル・シェイの辞職・・・ほんとうに可哀想だよね。
実際は退職後ベストセラー作家になったらしいので、良かったのかも知れないけど
マイケルは、王室と首相の対立を明らかにしてはいけないと止めた側だったのに。
平気でスケープゴートにする王室の体質が怖い。

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