警備が厳しいバッキンガム宮殿に侵入した男の話し、知りませんでした~
#5 侵入 Fagan あらすじ
サッチャーの政策がもたらした高い失業率の影響が広がる中、追い詰められた男がバッキンガム宮殿に侵入する事態に。一方サッチャーは反対する議員を押し切りフォークランドへ軍を出した結果、アルゼンチンは追い込まれる。
相関図
まとめ
マイケル・フェイガン
失業
サッチャーが首相になって以降失業率は上昇の一途だった。
塗装業のマイケル・フェイガンも失業、愛想を尽かした妻は子どもたちを連れて家を出てしまう。
2週間に一度の失業手当と日雇いで生計を立てているマイケルだが、ある夜、妻が新しい男といるところを見てしまう。「あのクソ野郎は誰だ?」と怒るマイケルに、「生活費を稼いで子どもを育ててくれる人よ」と妻。その言葉に怒ったマイケルは、妻の恋人デレクに喧嘩を吹っ掛けるが、店内にいた客が割って入り事なきを得る。
政権批判
不要な戦争にカネを使う首相と政権に憤っているマイケルは、保守党議員リチャード・ヘイスティングの事務所を訪ね、「首相は国民を無視し30億ポンドも使い戦争を始めた」と政権批判、中傷するが、ヘイスティングは、「抗議があるなら投書するか平和的にデモを。民主主義がその権利を保証してる。あとは野党党首かエリザベス女王を訪ねてみては」と追い返してしまう。
見放される
子どもたちとの面会したいマイケルは社会福祉担当者に相談、条件として【家の水漏れ修繕】をするよう言われ行政に資金援助を頼みに行くが、アパートの賃貸契約者が妻だったため、助成金は出せないと言われてしまう。
侵入
行政から援助を断られた帰り道、バッキンガム宮殿を見たマイケルは、途中下車。バッキンガム宮殿の外周を回り、フェンスを乗り越え、雨どいを伝い開いていた2階の窓から宮殿内に侵入する。
宮殿に侵入したマイケルは、女王夫婦の椅子に座るが奇跡的にも警備員やメイドに見つからず、ある部屋に侵入する。そこでワインを1本飲み、陶器製品を1つ壊し、エリザベス女王の寝室のドアを開けた直後、メイドに見つかってしまう。
「陛下の寝室に侵入者がいる!」と言うメイドの通報で警備員が動き出すが、マイケルは逃げ去っていた。
報告
秘書官チャータリスから、「柵をよじ登り、雨どいを伝って王室責任者室の開いていた窓から侵入。ギフトルームに入って6ポンドのワインを1本飲み、ガイアナ共和国からの贈り物(花瓶)を破壊。陛下がウィンザー城に滞在されていて良かった」と報告を受けたエリザベスとフィリップは、「なぜ見逃したのか」と問うが、原因も侵入者の目的も不明だと言う。チャータリスは警視庁には連絡済みだが政府報告はまだだと言い、政府が知れば過剰な監視カメラ設置、警官が増員されるだろうと言うので、「今回は内密に」とエリザベス。
八方塞がり
子どもに会いたくてたまらなくなり、遠巻きに子どもたちが公園で遊ぶ様子を見ているマイケルは、妻の恋人デレクが子どもの頭をコツくのを見てしまい、走るよるとデレクに殴りかかる。
妻クリスは素早く子どもを保護しデレクは殴りかかってきたマイケルに対処、マイケルは逃げるしかなくなる。
マイケルの浅はかな行動により、子どもの養育権は永続的に母親専任、今後一切の子どもへの接触を禁止されてしまう。
勝利と民衆の反応
アルゼンチンが白旗を上げフォークランド紛争はイギリス勝利で終わった。
サッチャーは意気揚々と会見、民衆は勝利を祝い、サッチャー首相を称え始める。つい最近まで戦争に反対していた民衆の手のひら返しに唖然とし、怒りを感じるマイケル。
二度目の侵入
マイケルは早朝のバッキンガム宮殿に再び侵入する。
宮殿の柵を越え雨どいを伝ったマイケルは、窓を割って宮殿内に侵入するが、メイドが掃除機をかけていて音はかき消され、警備員の交代時間と重なり、モニターチェックが甘くなっていた。
マイケルが忍び込んだのは運悪くエリザベス女王の寝室だった。
人の気配を感じたエリザベスはメイドだと勘違いするが、カーテンを開けてエリザベスのベッドに腰掛けたのはマイケルだった。
「誰なの」と怯えるエリザベスに自分の名前を名乗り、「約束する、何もしない。怖がらなくていい。今、この国で何が起きているかを話に来た。たまにあんたも一般人と会って現実を知るべきだ」とマイケル。
手から血が出ているのに気づき手を洗いたいと言いだすまいけるにエリザベスはバスルームを貸すが、バスルームから出てきたマイケルは、「宮殿は一見豪華だが老朽化してる。廊下と大広間は最悪だ。剥げた絵、剥がれた壁紙、染み。職業柄気になる。塗装業なんだ。オレを雇うべきだ。それとガラス屋も呼ばないと。今回は窓ガラスを壊して侵入した」と言い出す。
先日の侵入犯が目の前の男だとわかったエリザベスは、「不法侵入よ、ワインも飲んだ」と言うが「あんたと話すための景気づけだった。すべきことは全部やった。手紙を書き、議員にも訴えたが何の効果もなかった。民主主義なんて幻想だ。だから国家君主と話すために来たんだ。サッチャーから国を救え!このままじゃ国が滅びるぞ。失業者は300万人以上だ」とマイケル。エリザベスは、「憂慮しているけどできることはない。失業、不況、危機、戦争、国は自力で回復する。それが必然だから」と言うが、「でもまったく立ち直ってない。仕事を失って自尊心を失った。妻も出て行った。精神を病んでると言われたがちがう、ただ貧しいだけだ」とマイケル。
エリザベスは、「国が何とかしてくれる。国民は税金を納めてる」と言うが、「頼れると信じてたものは全部首相が壊した。首相は税金をムダな戦争に使い、楽観的な傾向にあると宣言までした。オレたちが楽観的になるためには働く権利、病気になる権利、年を取る権利、弱る権利、人間でいられる権利だ。あんたもクビになる。サッチャーは大統領になりたがってる。オレたちみたいにあんたも仕事を奪われる」と言う。
そこへモーニングティーを持ってメイドが現れた。女王の寝室にいる男を見て驚くが、エリザベスは、「大丈夫よ、でも警備を呼んで」と指示。
メイドが部屋を出たあと、「他に伝えたいことはある?」とエリザベス。マイケルは、「ない、ありがとう」と答えた。そこへ警官が走り込んでいた。エリザベスは、「大丈夫」と警官を止めると、マイケルと握手し、「話はよくわかりました」と言う。
マイケルは警官に連行された。
恐怖から解放されたエリザベスは涙を浮かべる。
サッチャーとエリザベス
バッキンガム宮殿侵入者逮捕のニュースにサッチャーは、「政府と警視庁を代表して謝罪します。ならずものと女王陛下を接触させたことは国の恥です」と言うが、「カレは失業の被害者よ。3年前、あなたが首相に就いてから失業率は2倍になってる。カレのような困窮者をすくい上げることは共有義務よ」とエリザベス。だがサッチャーは、「この国を復活させるには古い価値観を捨てねばなりません。共有義務など幻想です。向上心のある人々こそ国を変える原動力です」と言いきるが、「皆が優秀とは限らない」とエリザベス。だがサッチャーは、「そこが私との見解の違いです。誰でも可能性を秘めている」と引かないどころか、「今から勝利パレードがあるので失礼します」といい出す。
勝利パレードをするなど聞いていなかったエリザベスは、「どういうことか」と聞くが、サッチャーは、「戦争に勝ちましたので」と勝ち誇る。
戦争反対を押し切り強行に開戦したサッチャーは、フォークランド紛争で勝利。その結果、”無能で失策続きの政権”から一気に、”強く毅然と国を率いるリーダー”に世論を変化させた。
ロンドン市内での「勝利パレード」中継をテレビで見ながら、「君主じゃない首相が敬礼を受けるなんておかしい」と言うが、「彼女の功績だ。楽しませてやればいい」とフィリップ。
だがサッチャーと考えが合わないエリザベスは、「彼女は勝手にやりすぎる。警備も過剰になった」と不満げ。
改めてフィリップは侵入者からエリザベスを守れなかったことについて、「すまなかった。後悔している」と言うが、「いつも守る以上のことをしてもらってる。ありがとう。カレがあなたの寝室に侵入しなくて良かった」とユーモアで返すエリザベス。
感想
サッチャー首相が私の印象と違い過ぎる。
女性蔑視だし強者主義、首相になって以降、失業率があがるばかりでよく政権守れたなーと。
フォークランド紛争に負けていたら間違いなく政権交代だったでしょうけど、運もある人物なのでしょう。
マイケル・フェイガンがバッキンガム宮殿に侵入したのは本当にあった話しだそうですが、エリザベス女王とマイケル・フェイガンが話しをしたのはフィクションだそう。
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